2024年12月23日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2021年9月22日

 エコノミスト誌9月4日号の記事が、かつてはプーチンの支持者であった学生、若者がプーチン離れを起こしている、と報じている。

 モスクワの経済高等学院の4人の学生は、反政府指導者ナヴァリヌイが1月に刑務所に送られたことに対し、これに反対する内容のYouTube動画をアップしたところ、検察に逮捕起訴された。彼らの動画は削除され、それ以来、彼らは自宅に監禁されているという。クレムリンは大学に対する支配をもっと体系的に強めようとしている。過去9か月間で、約20の大学で学長が交代させられた由である。 

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 記事によれば、クレムリンによりプーチンの支持基盤と称賛されたロシアの学生や若者は今やその権力への最大の危険の一つと見られている。学生や若者は、政府が彼らの個人的自由を侵害し、「愛国的で伝統的な価値」を押し付けていることに対しても怒っている。

 また、記事は、ここ2~3年、プーチンとその仲間は徐々に若者や経済的に活発な層から疎外されてきたと指摘、「若い連中がのけ者になっているのではなく、プーチン自身の世代がますます国民とちぐはぐになっている」とする、著名な政治学者エカテリーナ・シュルマンの見解を紹介している。若者たちはインターネットを通じて、西側、特にヨーロッパに肯定的な考えをしており、プーチンのイデオロギーの主たる要素、国家の偉大さや過去の勝利よりも人権を気にかけているという。

 プーチンは、9月17~19日の下院選挙、さらに2024年の大統領選挙に勝つために焦りがあるように見える。下院選挙では、与党の統一ロシアが前回の2016年の選挙で獲得した343議席(全議席は450議席、小選挙区と比例代表選出議席それぞれ225議席)をどこまで守れるかが一つの焦点である。統一ロシアの支持率は2016年と比較すると低くなっており、統一ロシアの議席は減ると見込まれている。ただ、議会の過半数の議席は確保するだろう。


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