2024年12月7日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2021年12月2日

 エコノミスト誌11月13日号は、「ロシアの弾圧の新しい時代。これは西側との対決につながるだろう」との社説を掲載、ロシア情勢に懸念を表明している。

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 その主要点を一部抜粋してご紹介すると次の通り。

・プーチンは国内での弾圧を強め、これを正当化するために、西側とのイデオロギー対決を作り出し、それに依存している。クレムリンは、反対するすべての人々を外国のエージェントと描いている。

・石油・天然ガスに依存するロシア経済は、持続的な成長を生み出すダイナミズムを持っていない(注:今後制裁に耐え得ないことを示唆)。

・ロシア人のほとんどが対決の利益を信じていないことは、良いニュースだ。プーチンのプロパガンダにもかかわらず、ロシア人の3分の2は西側に対し肯定的見方をしている。ほぼ80%が西側をパートナーで友人であるとみなすべきであると言っている。この傾向は特に若者の間で最も明確だ。

・西側は、国家を簒奪し人々を苛めているロシア当局に焦点を合わせ、制裁を調整すべきである。

・西側は、プーチン後のロシアのための基礎を作り始めるべきである。プーチンのシステムが彼を超えて生き残ると見るのは困難である。

・西側は、価値を共有する人々に投資すべきである。ロシアの国内での人権侵害に声を上げるべきである。良い生活を求めるロシアの学生、ジャーナリスト、インテリの数は増えるだろうし、西側政府は彼らを受け入れるべきである。西側はそうすることで、単にプーチンの弾圧の犠牲者を助けるのみならず、自分自身を助けていることになるだろう。

(出典:‘Russia’s new era of repression’, Economist, November 13)

 この社説は良く書かれた論説であり、その情勢判断、政策提言には全面的に賛成できる。

 エリツィンは自分の後継者にプーチンを指名したが、エリツィンはこの選択を悔いていたと、米国の国務副長官であったタルボットは証言している。

 プーチンは自己の権力維持を何よりも重視し、利権を仲間に与える網の目を作り、治安当局とそのOBを優遇してきた。19世紀の英国の歴史家・思想家・政治家のアクトン卿は「権力は腐敗する。絶対的権力は絶対的に腐敗する」と言ったが、プーチンの統治はそのよい例である。


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