WEDGE REPORT

2021年12月16日

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 韓国は1997年のアジア通貨危機を機に、個人消費の増大と脱税防止を目的として、政府が主体となりクレジットカードの利用を推進したため、今ではキャッシュレス比率89.1%と世界で最もキャッシュレス化が進んだ国となった。さらに韓国政府はこの過程で、30万円を上限として年間クレジットカード利用額の20%を所得から控除(現在は15%)するとともに、1000円以上のクレジットカード利用で自動的に毎月行われる当選金1億8000万円の宝くじを配布(レシートに抽選番号を印字)する政策をとった。この射幸的ともいえる政策が見栄っ張りな特性を刺激して、一挙に家計債務が増大したという訳だ。

はたして韓国は幸せな国になったのか?

 内閣府が実施した調査(令和2年度外交に関する世論調査)では、韓国に「親しみを感じる」とする者は34.9%で、そのうち18〜29歳の女性が最も多くの割合を占めている。また、日本テレビは今年6月のニュースで、「韓国での就職目指す 日本の若者が増加」を報じ、韓国のコンテンツの影響が大きいという声を紹介した。これらの傾向は、ひとえに韓国ドラマが日本の若者に好影響を与えた結果だといえる。

 確かに、率直に言って韓国ドラマの質は俳優や脚本、演出、映像の面で日本のドラマやバラエティー番組を凌駕していると思う。これは韓国政府と芸能関係者が一体となって、「韓流」を輸出コンテンツとして育成してきた成果であり、素直に賞賛すべきだろう。ただ、日本の若者が憧れるような夢の国なのだろうか?

 イカゲームは日本のみならず、米国や西ヨーロッパでもヒットしたという。ここから思い起こされるのは、19年アカデミー賞で最優秀作品賞を受賞した『パラサイト 半地下の家族』だ。

 イカゲームとパラサイトが西欧キリスト教文化圏ではない韓国を舞台としながら欧米人に親近感を抱かせたのは、貧富の格差が拡大していることへの共感があるからだ。つまり、これら作品は不平等や機会の減少という世界に共通する格差問題を韓国人特有の豊かな感情表現で描き出したからヒットといえる。世界中の視聴者が楽しむドラマの裏には、経済格差で苦しむ韓国の市民がいることを忘れてはならない。

 果たして、ドラマとして社会問題を切り売りしている韓国の未来に夢はあるのだろうか。

  
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