2022年10月1日(土)

2024年米大統領選挙への道

2022年1月26日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授 心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08年~10年、12年~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年と12年米大統領選挙で研究の一環として日本人で初めてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。激戦州南部バージニア州などで4200軒の戸別訪問を実施。10年、14年及び18年中間選挙において米下院外交委員会に所属するコノリー議員の選挙運動に加わる。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。中西部オハイオ州、ミシガン州並びに東部ペンシルべニア州など11州で3300軒の戸別訪問を行う。20年民主党大統領候補指名争いではバイデン・サンダース両陣営で戸別訪問を実施。南部サウスカロライナ州などで黒人の多い地域を回る。著書に「オバマ再選の内幕」(同友館)など多数。

バイデンの注目発言

 記者会見でバイデン大統領の注目発言が飛び出した。「ホワイトハウスのスタッフに満足している」と、記者団の質問に答えたのだ。なぜ、この発言が連邦議会議員やホワイトハウス担当記者にとって注目発言になり得るのか。

 バイデン氏の支持率は21年8月から低迷を続けている。ロイター通信とグローバル・マーケティング・リサーチ会社イプソスの共同世論調査(22年1月19~20日実施)によれば、バイデン氏の支持率は43%で、不支持率は52%であった。不支持が支持を9ポイント上回った。しかもバイデン氏肝いりの大型歳出法案は昨年成立せず、今も目途が立っていない。

 その責任はホワイトハウスのロン・クレイン大統領首席補佐官にあり、同補佐官を解任して人事を刷新するべきだという声が、ベン・サス上院議員(共和党・中西部ネブラスカ州)から出ている。一部の民主党議員も同党急進左派寄りのクレイン氏を批判しているという。

 オバマ元政権の大統領首席補佐官で新駐日米大使のラーム・エマニュエル元下院議員とは異なり、クレイン氏はバイデン上院議員(当時)が司法委員会の委員長を務めていたときのスタッフであった。1987年からバイデン氏に仕えている。バイデン副大統領(当時)の首席補佐官でもあった。側近中の側近であり、バイデン氏の考え方を最もよく理解している、いわば同氏の「分身」だ。

 だが、エマニュエル氏と比較し、クレイン氏は議員に対するロビイング力が弱い。ホワイトハウスが推し進める法案が円滑に成立しない諸要因の1つといえる。

 支持率低迷から抜け出す方法には、主として「コミュニケーション」「小さな成果」「人事の刷新」並びに「外交カード」の4つがある。バイデン氏はクレイン氏解任という「人事の刷新」を排除した。「分身」を解任することは自分を切り捨てることと同等だからだ。

 加えて、記者会見でバイデン氏はトランプ前大統領のように「中国カード」および「北朝鮮カード」を使用する発言をしなかった。この点も注目点であった。

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