「コミュニケーション」と「小さな成果」
就任2年目を迎えたバイデン大統領は上の4つの方法の中で、「コミュニケーション」および「小さな成果」で政権の立て直しを図っていくだろう。
バイデン氏は上院におけるフィリバスター(議事妨害)のルール変更という「米国民の理解が浸透しない、理解が難しい課題」に取り組んでいる。ではこのような課題に対して、どのようなコミュニケーションが有効なのだろうか。
一言でいえば、米国民との直接対話である。ワシントンから離れて、米国民に直接語りかけるというバイデン氏の強みを活かした「攻め」の戦略である。
22年中間選挙と24年大統領選挙を念頭に、激戦州でタウンホールミーティング(市民集会)を開催して、有権者、殊に鍵となる無党派層および、支持基盤であるアフリカ系と大卒の白人女性を中心に「投票権の保護」の重要性を強くアピールしていくことが肝要だ。投票権の保護は、アフリカ系と大卒の白人女性から共感を得やすく、彼らの票を固めるのに有効である。
バイデンのスタイルとは
加えて、インフラ投資法案が激戦州にもたらす効果について、有権者に対面で直接語ることも不可欠だ。バイデン大統領は「対面に勝るものはない」と言う。対面形式はバイデン氏の得意なスタイルである。
バイデン大統領が就任1年目に最も多く訪問した州は、東部ペンシルべニア州の7回、次いで中西部ミシガン州の5回であった。両州は20年大統領選挙の勝敗に大きく左右した州だ。ペンシルべニア州は勝敗を決定づけた。
2年目のバイデン氏はペンシルべニア州とミシガン州を中心に、他の激戦州も積極的に回り、対面で有権者に直接語りかけていくのではないだろうか。