2024年12月21日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年2月11日

 共和党は、このままで政権を取らないでいると、外交政策を実施する能力を失ってしまう。ベトナム撤退後、民主党が復活するのには一世代を要している。

 共和党は、国家安全に対する脅威を誇大に強調するのをやめねばならない。また、外交は広い分野に及ぶものであり、軍事面ばかり強調すべきでないことも認識すべきである。また、国際的な協力の必要性も忘れてはならない。

 共和党が誇った外交政策の伝統は、今や壊滅の危機に瀕している。イデオロギー的な「お経」ばかり唱えず、共和党の良き伝統に復帰しなければならない、と論じています。

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 米国では伝統的に、民主党は、ルーズベルトのニューディール、ケネディの人権など、国内政策に強く、共和党は、アイゼンハワー、レーガンなど、外交安保政策に強いという観念がありました。そして、この論文によれば、ブッシュ、ゴアの選挙戦までは、米国民も外交安保政策では共和党の方が頼りになると思っていたようですが、ブッシュ政権がこの共和党の財産を蕩尽してしまったとのことです。

 米国の国際政治問題についての頽廃は、9.11に始まったように思われます。9.11は、米国の安全、社会、経済に根本的な影響を与えない、一つのテロ事件であるにもかかわらず、それが米国に対する唯一最大の脅威のように報じられ、その神話は、その後少なくとも五年間は、9.11の画像が繰り返して放映されるごとに、揺るぎの無い現実として国民に印象付けられました。中途半端に終わった湾岸戦争に再決着をつけ、サダム・フセインを追放する口実に9.11が使われても、当初、米国民は違和感を持ちませんでした。

 そして、軍事専門家の関心は、「新しい戦争」、すなわち、対テロ戦争一色となってしまいました。こんなことは、一時の流行で終わってしかるべきものでしたが、それが、何年も続いたのです。

 実は、9.11の前、ブッシュ政権成立間もないころ海南島で米中衝突事件があり、これから新しい時代が始まると思った矢先に9.11があり、中国問題は閑却されました。もしあの時以来中国を意識して、極東海空軍の態勢強化に心がけていれば、現在の事態もかなり変わったものになっていたはずです。

 米国の今後の大戦略を考えれば、アジアへの軸足移動が本命でしょう。そのお株を民主党に取られてしまっては、当面、共和党の出番はないかもしれません。今後は、せめて、アジア回帰の実施強化督励、そして、それに必要な予算措置を、今後の共和党の安保、外交戦略の中心において欲しいものです。

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