2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年2月22日

 1月23日付米New York Times紙で、Mark A. Hellerテルアビブ大学国家安全保障研究所主任研究員は、1月22日のイスラエルの総選挙後、いかなる連立政権が出来ても、イスラエルの関心事は中東和平ではなく国内問題なので、和平プロセスを活性化するには、オバマ米大統領の役割が大きく、パレスチナのアッバス議長も行動すべきである、と論じていいます。

 すなわち、イスラエルの選挙は開票後に始まると言われるが、今回もそうである。ネタニヤフは第1党を維持したが、議席減少は連立政権の運営を困難にする。いずれにしても、イスラエル人の関心は国内問題に向いている。選挙結果は、中東和平の進展には、あまり意味がない。

 イスラエル経済は、マクロ的には、比較的良い結果が出ているが、イスラエル人は、格差社会、混雑した病院、高い住宅などに不満を抱いている。世論調査では、有権者の60%が社会経済問題を、19%が安全保障問題を、16%が和平問題を重視していた。

 和平問題をあまり重視していないのは、イスラエル人が2国家解決に反対であるからではない。60-70%の人が何年もそれを支持している。ただ緊急性が感じられないこと、これまでの努力の空しさに疲れていることが理由である。

 その結果、次のイスラエル政府が、和平に関し新しい提案をするとは考え難い。

 死にかけた和平プロセスを再活性化させうるのはオバマ米大統領である。オバマは、米・イスラエル関係を維持するために、何らかの肯定的な動きが必要であることを明確にイスラエルに伝達しなければならない。その際、オバマは、イスラエル人に、イスラエルのためにそうしていることを納得させる必要がある。イスラエル訪問はそれを示すことになろう。

 最後に、アッバスの役割も重要である。イスラエルに領土での譲歩を求めるだけではなく、紛争の終結、2国家の平和共存が肯定的な行動の結果となり得ることを示すべきである。もしアッバスがそうしない、または出来ない場合、今回のイスラエル選挙は国内問題にとどまり、他の人の注意を引かなくなるだろう、と述べています。

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 1月22日、イスラエルで総選挙(総議席数120、全部比例代表制)が行われました。その結果、リクード・わが家イスラエル―31議席、未来がある―19議席、労働党―15議席、アラブ系政党―12議席、ユダヤの家―11議席、シャス(宗教政党)―11議席、ユダヤ教連合―7議席、その他―14議席が獲得されました。


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