2024年12月23日(月)

山師の手帳~“いちびり”が日本を救う~

2013年2月13日

 先日、ある週刊誌と夕刊紙から、今回のレーダー照射は、中国の兵法書である『兵法三十六計』のどれに該当するでしょうか? というインタビューを受けた。なぜ、『兵法三十六計』かというと、他メディアの話で恐縮であるが、東洋経済オンラインの「レアメタル王中村繁夫のスレスレ発言録」で、「『兵法三十六計』で占う衆院選」というテーマで論じたところ反響が大きく、今回のインタビューとなったわけだ。

 この『兵法三十六計』、中国人には「戦いの定石」として知られており、ビジネスの場面でもよく応用されている。長年中国人とビジネスをするなかで、私も研究するようになった。

 では、レーダー照射も含めて、最近の中国の行き過ぎた軍事行動は、三十六計で考えるとどのようになるか説明しよう。

01.「天を欺いて海を渡る」の計

 『やると見せかけてやらない』。つまり、何度も同じことを仕掛けて文句が出れば誤魔化す、そして暫くたつとまた仕掛ける。今回のレーダー照射も問題が薄れてきたらまたやるから、徹底的に叩いておいた方が良いことになる。

08.「暗渡陳倉」の計

 『スキに乗じて進軍しろ』。あれだけ中国内で毎日「対日戦争」の番組をやって中国大衆を洗脳している事実があっても、日本政府は何も言わないし抗議もしないから、中国側は「何も問題はないのだ」と判断する。つまり、それほどスキがある相手に対しては、戦いを仕掛けるのが当然だと考えている。中国内の好戦的雰囲気を知らないのは日本人だけだろう。

15.「調虎離山」の計

 『相手のテリトリーから誘い出せ』 。すなわち日本が「領土問題は存在しない」といったことを覆させるため、レーダー照射でもなんでもやってくる。そのため、自分の都合のいい領域に相手を誘い込もうというのがこの計略になる。

 日本が領土問題は存在しないと言い過ぎたから、中国人は尖閣諸島問題で日本に舐められていると感じている。今やGDPでも日本をはるかに追い抜き、もはや南シナ海は中国のテリトリーだと考えているからこの手を使ったともいえる。

04.「逸をもって労を待つ」の計

 「逸以待労」とは『敵をじらせて疲れを待つ』ことだ。日本人は、事が起これば短気になることを知っているから、嫌がらせをしてくる。騒げば騒ぐほど日本の損になる。

 しかし、やり方によっては根競べで、こちらが勝てば、勝利することができる。この計略を成功させるには我慢強さが求められる。「先に動いたら負け」だから、これからが勝負になる。

07.「無の中に有を生じる」の計

 『虚勢を張って敵を脅せ』という、はったりだ。中国の軍事力は実は中古の戦力が多くて実戦になると日本の兵力が上だ。そのため、今の時期に幼稚な手段でちょっかいを掛けるのは見せかけの計略といえる。

 中国の得意技はハッタリを信じこませる演技力や、平気で嘘をつく報道官の豪胆な精神力だ。日本人にはちょっと恥ずかしくて出来ない策略ではある。

12.「順手牽羊」の計

 お調子者が考える発想だ。『取りたいものは取れるうちに取れ』という意味だが、「羊を手で引くように、物事が流れにのり、チャンス到来となったなら、とことんそのチャンスに乗じ勝利をつかむことが大事である」という計略だ。

 日本はこの10年、ツキがないが、中国には勢いがあることも事実なので、調子の良い時には「レーダー照射でも、尖閣諸島上陸」でもなんでもやってくる。 

 実は、勝負の世界では時に必要な発想で、武田信玄の風林火山も、ITバブルに踊った新鋭企業の急躍進まで、あらゆる戦法の基礎だ。「スピード」と「的確な読み」の両方が重要になってくる。

>>次ぺージ  日本の戦略を兵法三十六計で考えてみると・・・


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