2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年3月11日

 これら新しい指導者にとっては、反米姿勢が政権維持に必要なわけではなく、むしろ穏健派左派であることを印象付けたいところであるので、反米のためのロシアとの提携はかえって迷惑であろう。中米ホンジュラスのカストロ政権も同様である。

ポピュリスト政権とのつながりには留意を

 バイデン政権にとって、これら新しい左派政権や指導者の主張は、人権や反汚職、温暖化防止など、民主党の重視する政策と親和性があり、ルーラ政権が成立する場合にはブラジルもこれに取り込み、そういった新たなパラダイムでラテンアメリカ政策を再構成する展望が見えてきているのではなかろうか。

 他方、「専制のトロイカ」3カ国以外の諸国でも、ロシアとの間の冷戦時代からの兵器供給を通ずる縁や必要性から安全保障協力、原子力、宇宙関係、貿易関係の二国間協力が進む可能性はある。その場合、中国資金との組み合わせと、中国との競合関係という2つの面で中国との関りも出てくるであろう。

 ボルソナーロが関心を持つのは、ソーシャル・メディアへの取り組みやサイバー技術など、ロシアの世論工作に関するノウハウではないかとも推測される。以前の、チリやコロンビアでの騒擾事件の背景にロシアの存在があったと見る向きもあり、左右を問わずポピュリスト政権とロシアの提携には留意が必要であろう。

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