2022年12月5日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年3月9日

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 ワシントン・ポスト紙(WP)のコラムニストEugene Robinsonが、2月21日付の同紙で、ウクライナへのロシアの脅威に関するバイデンの対応を評価し、トランプであればこうはいかなかったとトランプを批判する論説を投稿している。

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 これは、ロシアによるウクライナ危機に際し、バイデンは良くやっており、これがトランプであればそうはいかず、プーチンはトランプにもっとロシア支持の発言をしてもらいたいであろうとの皮肉を込めたトランプ批判の論説である。

 何故、トランプの動向に関心が向くかと言えば、元々プーチンと気脈を通じていたトランプが依然として次期大統領選挙の有力候補者であり、バイデン政権の今後にも関わる11月の中間選挙にこのウクライナ問題がどう影響するのかが注目されているためでもある。2月24日に至り、ロシアはウクライナへの全面的攻撃に踏み切ったが、確かにトランプであれば北大西洋条約機構(NATO)が一致して対応することは困難であっただろう。

 トランプは、バイデン批判は頻繁に行って来たが、ウクライナについては、1月29日にテキサスで、守るべきはウクライナの国境ではなく米国の国境だと述べ、2月12日、FOXニュースのインタビューで、自分が大統領の時にはウクライナ侵攻は起きなかったと触れた程度で、対ロシア制裁の是非などについて具体的な発言をしていなかった。

 もっとも、トランプの代弁者であるFOXニュースのカールソンや一部のトランプ派共和党議員は、ウクライナへの関与やロシアに対する制裁に反対し、むしろ移民問題と中国に集中すべきといった主張を繰り返し、これに対し、共和党議員を含む多くの批判が寄せられていた。

 ニューヨーク・タイムズ紙によれば、プーチンが、ウクライナ東部のロシア系支配地域の国家承認を行い、同地域に平和維持軍と称してロシア軍の派遣を決定した21日、トランプは保守系ラジオのトーク番組で、プーチンの侵略は天才的であり、極めて賢く、事情に精通していると称賛し、同日配布された声明では自分が大統領であればロシアのウクライナ侵攻は起きなかったとも述べた。

 今後、バイデンの対ウクライナ政策を巡り、中間選挙を控えてトランプがさらに批判を強めるのではないかとの見方もあるが、24日にロシア軍がウクライナ全土の軍事施設に対するミサイル攻撃を行い、バイデン政権を中心に主要7カ国(G7)が厳しい制裁措置をとるに至り、そう単純にはいかないように見える。一つには、もともとトランプはロシアやウクライナについては脛に傷を持つ身であること、更に対ロシア制裁を、共和党議員の多数派を含め議会が支持する状況において、バイデン批判では一致しても、これにロシア制裁を絡めることについて共和党議員の間に分裂が深まっていたことがある。

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