これらの大転換が、伝統的にソ連・ロシアとの関係を重視するとともに、安全保障面ではより抑制的な姿勢をとってきた社会民主党が率い、緑の党を擁する連立政権が決定したことは、事の重大さを示している。
ドイツを動かした憤りと無力感
その背景に存在したのは、ドイツにとって地続きであるウクライナの地において、むき出しの力による侵攻が起きたことの衝撃だった。「怒り」と言ってもよい。加えてショルツ首相は、直前までモスクワを訪問してプーチン大統領と会談するなど、仲介外交にも奔走していた。そうした努力が全く顧みられないような展開にも、憤りと無力感があったのだろう。
その結果が、ドイツの外交・安全保障政策における、おそらく冷戦後最大となる大転換だった。欧州最大の国が〝目覚めた〟のである。
ドイツ以外にも欧州の変化が止まらない。これまでNATOに加盟せず、「中立」を貫いてきたフィンランドとスウェーデンは、……
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