2024年11月22日(金)

バイデンのアメリカ

2022年3月21日

いかなる「条件」で折り合えるかは未知数

 しかし、休戦交渉の中核をなす「中立化」について、かりに双方交渉団の協議が進展を見せ始めているとしても、ウクライナ側が、ロシア軍撤退と停戦開始後に何らの安全保障抜きで〝丸裸状態〟のままの「中立化」を受け入れることは絶対あり得ない。

 そこで、改めて重要となってくるのが、「要塞中立化」の体制構築だ。

 ウクライナ側交渉団としては今後、米国のミッチェル前国務次官補が提起した通り、ロシア側が重ねて要求してきた「中立化」に応じる前提条件として、①「中立国ウクライナ」が侵犯された場合に備えた米国などによる安全保障とり決め、②クリミア、ドネツク、ルハーンシク以外の全国の自国領土固定化、③EUを中心とした西側陣営による戦後復興の保証、などについて、ロシア側の同意と了解を取り付ける必要があることは言うまでもない。

 このため、今後の停戦交渉の行方を占う最大の争点は、いわば〝条件付き中立化〟案について、双方がどこまで折り合いを見せられるかにかかってきたとの見方も成り立つ。露ラブロフ外相が「中立についての合意が近づいている」と述べたこととの関連性も、今後の注意点の一つだろう。

 いずれにしても、ロシア、ウクライナ双方とも、出口が見えないまま戦争が長期化していくことを望んでいないことだけは確かだ。果たして早期停戦に向けてどこまで妥協にこぎつけられるか――。最後は、プーチン、ゼレンスキー両大統領の政治決断ひとつにかかっている。

 なお、NATOのヤープ・デホープスヘッフェル元事務総長は、ウクライナの今後のあり方について「フィンランドのような立場をとる可能性がある」と語っている(3月21日付読売新聞朝刊)。

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