矢崎さんは新500円玉の修正作業を依頼された当時の心境をこう振り返る。
入局して4年の山尾みずほさん(22歳)は、記念貨幣の収集が趣味だった母親の影響もあり、今の仕事に憧れて造幣局職員の道を選んだ。貨幣の種印修正を担うには経験が足りないため、記念メダルなどの修正作業を担当しながら日々技術を磨いている。土堤内さんは成長途上にある彼女をあえて、自らの隣の席に配置した。
「まず、土堤内さんの使っている道具を見せてもらう。その後、作業中の手や道具の角度を参考にする。それらの視覚イメージと口頭でもらうアドバイスを掛け合わせながら自分の感覚に落とし込むことで、ようやく土堤内さんの持つ技術の一端を吸収できたと感じることができる」(山尾さん)
こうした日々の積み重ねが、世界に誇る貨幣製造技術と「創業150年」の歴史を築いたことは疑う余地がない。技術の発展は、それを受け継ぎ、次世代につなぐ「人」の存在があってこそなのだろう。
『Wedge』2022年4月号で「デジタル時代に人を生かす 日本型人事の再構築」を特集しております。
日本型雇用の終焉──。「終身雇用」や「年功序列」が少子高齢化で揺らぎ、働き方改革やコロナ禍でのテレワーク浸透が雇用環境の変化に拍車をかける。わが国の雇用形態はどこに向かうべきか。答えは「人」を生かす人事制度の先にある。安易に〝欧米式〟に飛びつくことなく、われわれ自身の手で日本の新たな人材戦略を描こう。
特集はWedge Online Premiumにてご購入することができます。
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