2024年4月24日(水)

Wedge SPECIAL REPORT

2022年4月3日

 矢崎さんは新500円玉の修正作業を依頼された当時の心境をこう振り返る。

令和4年の新500円玉の修正作業にあたる矢崎さん (WEDGE)

 入局して4年の山尾みずほさん(22歳)は、記念貨幣の収集が趣味だった母親の影響もあり、今の仕事に憧れて造幣局職員の道を選んだ。貨幣の種印修正を担うには経験が足りないため、記念メダルなどの修正作業を担当しながら日々技術を磨いている。土堤内さんは成長途上にある彼女をあえて、自らの隣の席に配置した。

 「まず、土堤内さんの使っている道具を見せてもらう。その後、作業中の手や道具の角度を参考にする。それらの視覚イメージと口頭でもらうアドバイスを掛け合わせながら自分の感覚に落とし込むことで、ようやく土堤内さんの持つ技術の一端を吸収できたと感じることができる」(山尾さん)

山尾さんの作業を見守る土堤内さん (WEDGE)

 こうした日々の積み重ねが、世界に誇る貨幣製造技術と「創業150年」の歴史を築いたことは疑う余地がない。技術の発展は、それを受け継ぎ、次世代につなぐ「人」の存在があってこそなのだろう。

 
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日本型人事の再構築
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