2022年7月6日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年4月7日

»著者プロフィール

 2月4日の北京オリンピックの開会に際し、プーチンと習近平は北京で首脳会談を行い、中露共同声明を発出した。この共同声明は、相互に「核心的利益」なるものを支持しあっている。すなわち、ロシアは「一つの中国の原則」を支持すると述べ、「台湾は中国の固有の領土」であり、如何なる形であれ台湾の独立に反対することを確認する、と述べた。そして、ウクライナの名前は明記しないまでも、中露双方は「北大西洋条約機構(NATO)の拡大に反対する」と書き込んだ。

 さらに、「中露両国の友情に限界はなく、協力に禁止区域はない」、とも記述した。その際、プーチンがウクライナへの軍事侵攻をどの程度具体的に習に話したかわからないが、この共同声明から見る限り、中露両首脳にとって、ウクライナへの侵略行為と台湾への行動という二点は連動していることが明白だ。

それでも、台湾侵攻は起こり得る

 ロシアのウクライナへの侵略行為はいつ、どのように終結するのか。習近平から見れば、ロシアの侵略行動の結果、ウクライナが短期間に降伏するのであれば、台湾についても中国は同様に、これを好機とみて、あまり時間を空けずに台湾併合への行動をとることを考えたかもしれない。しかし、プーチンの誤算はいまやだれの目にも明らかだろう。プーチンやロシアに科された経済上、軍事上その他の制裁措置から見て、習近平としても今の状況下で、台湾併合への具体的動きを取れば、結果的に世界の多くの国々を敵にまわす可能性が出てきたことに内心衝撃を受けているかもしれない。

 かといって、中国共産党にとって「核心的利益」たる台湾統一へのスローガンを放棄することもありえないだろう。このような状況下において、台湾当局としては、「台湾関係法」をもつ米国の支援に期待しつつも、いざとなれば、自らが可能な限り自らを守るための準備を行わなければならない、という厳しい現実に直面している。最近の東引島における台湾の軍事演習はそのための準備の一例を示すものに他ならないと考えられる。

  
▲「Wedge ONLINE」の新着記事などをお届けしています。

関連記事

新着記事

»もっと見る