2022年12月9日(金)

バイデンのアメリカ

2022年4月20日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。著書に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

 また、州知事選予備選レースにおいても、トランプ氏が支持表明したジョージア州など12州の知事候補が共和党主流派候補相手に苦戦を強いられているほか、トランプ氏推薦候補が党全体の支持を得ている州は、アーカンソー、カンザス両州のみにとどまっている。

 今年3月、ロシアの軍事侵攻開始以来、世界的重大関心事となっているウクライナ戦争問題でも、トランプ氏は全国共和党員の間で信頼と支持を減らしつつある。トランプ氏は大統領在任中から、露プーチン大統領と親密な関係を保ち続けただけでなく、ウクライナのゼレンスキー大統領を冷遇し、対ウクライナ軍事援助を一時凍結したこともあった。

 退任後も、プーチン氏の対ウクライナ軍事戦略に賛辞を贈るなどして、多くの有権者の間でひんしゅくを買っており、ロシア軍の蛮行によるウクライナの惨状が世界で報道されるにつれて、トランプ氏の立場も複雑なものになりつつある。

チェイニー氏は大統領選挙も視野に

 トランプ氏と今や〝犬猿の仲〟のチェイニー女史も、ワイオミング州予備選政治集会で、しばしばウクライナ問題に言及、ヘイグマン対立候補の「トランプ・コネクション」を酷評する格好の攻撃材料ともなってきた。

 さらに、チェイニー女史はかねてから、次期大統領選への意欲も見せ始めているだけに、ワシントン政界では、もし、8月予備選で圧勝した場合、大統領選の共和党候補指名争いでもトランプ氏の強力なライバルとなる可能性が高いとみられる。同女史は「私はトランプが再び大統領となることを何としても阻止する。アメリカ合衆国の恥だ。彼を政界から締め出すためにあらゆる努力を惜しまない」と公言してはばからない。

 また、マイク・ペンス前副大統領も、「先の大統領選結果を覆そうとするいかなる試みにも私は同調できない。選挙結果が捏造されたとするトランプ氏の主張は間違っている。わが国憲法の信用にもかかわる問題だ」と述べるなど、チェイニー女史に近い立場を表明しており、政界の一部では、24年大統領選の全国共和党大会で、ペンス―チェイニー正副大統領候補として名乗りを上げる可能性さえ指摘されている。

 一方で、南部、中西部の農村部、ラストベルト(錆びついた工業地帯)の白人労働者層を中心に、トランプ氏に対する支持はいぜん根強く、「トランプ再選」に向けた支持派の動きも衰えを見せていない。

 しかし、もし、同氏が再出馬を決断した場合、共和党主流派の勢力が次第に盛り返しつつあるだけに、前回大統領選以上に苦戦を余儀なくされることは確実とみられている。

  
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