2024年4月16日(火)

World Energy Watch

2022年5月6日

 卸電力市場では、電気を売りたい発電事業者と買いたい小売事業者が価格を入札し、電気の卸価格が決まる。取引の主体であるスポットの卸電力価格は、燃料価格の変動をほぼ反映し、図-5の通り推移している。最近の欧州の卸電力価格ほどの上昇率ではないが、日本の卸価格も値上がりし、今年1月から3月までは1kWh当たり20円を超えている。

 小売りのためには、この価格に送配電などの費用も必要になる。経済産業省の試算では、今年3月の東京電力管内の需要家に6000ボルト以上の高圧で供給する料金は、36.47円から38.89円になるとされている。

最終保障供給とは

 20年度の産業用電気料金は、資源エネルギー庁の資料では1kWh当たり15.7円だ。電力販売契約は小売事業者により異なるが、多く産業・業務用電力販売契約では逆ザヤになっていると思われる。

 販売価格とコストとの乖離が大きく逆ザヤの解消は短期間で難しいことから、新規契約、契約更改を行わない小売事業者が増えている。小売事業者との電力供給契約の締結が不首尾に終わった大口需要家のため、送配電事業者に申し込む最終保障供給が用意されている。

 最終保障供給は、大手電力が設定している標準的なメニューの約2割増しの料金により供給を受けることが可能になる制度だ。契約件数は、昨年春から秋にかけては毎月400件台で推移していたが、昨年12月から増加を始め今年3月には4782件、4月は15日時点で4098件になっている。

 経産省は、今年3月の最終保障契約の1kWh当たり料金(6000ボルト以上)を、東電管内業務用24.29円、産業用23.02円と試算している。多くの小売事業者が提示可能なレベルの料金を下回っているだろう。

まだ上がる電気料金

 電力小売り事業者と供給契約を締結できなかった大口需要家が、最終保障により供給を確保できるのであれば、問題はないのだろうか。送配電事業者は、大口需要家に供給する電気を確保する必要があるが、その仕入れ価格は供給価格を上回る可能性が高い。そうなれば、送配電事業者が赤字になるが、送配電を行っている事業者が立ち行かなくなれば停電してしまう。

 結局送配電費用の値上げの形で需要家が負担し支えるしかない。電気料金の値上げを行うしかないということだ。

 欧米諸国が脱ロシア化石燃料を目指しているので、これから化石燃料価格は上昇する。ロシアは、世界一の天然ガス輸出国、世界2位の原油輸出国、世界3位の石炭輸出国。ロシアに代わる輸出国からの供給量には限りがあり、エネルギー価格は上昇することになる。

 既に、EUが8月の脱ロシアを決定した石炭の価格は、大きく上昇し始めた。5月4日に欧州委員会がロシア産原油と石油製品の禁輸方針を発表した途端、原油価格は値上がりした。

 図-4(上)が示す通り、日本の発電量の約4割は液化天然ガスを燃料とするLNG火力、約3割は石炭火力により供給されている。EUとの比較では、天然ガスと石炭価格の変動による電気料金への影響は大きくなるが、円安の影響もあり燃料は今後しばらく高止まりすることになるだろう。日本の電気料金はさらに上昇する可能性が高い。


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