電気料金が高騰している。2021年1月東京電力の平均モデルとされる月260キロワット時(kWh)の電力消費を行っている家庭の支払額は6317円だったが、今年5月には8505円になる。35%の値上がりだ(図-1)。
電気料金が上昇しているにもかかわらず、新電力と呼ばれる電力小売り企業の経営が困難になっている。経済産業省の資料によると、21年に事業を廃止・解散した事業者は24社あった。
読者の中にも「契約していた新電力から営業停止の連絡があったが、電気は来るのだろうか」と心配している方がおられるかもしれない。心配しなくても地域の大手電力が最終的には供給してくれるので、停電することはないが、新たな供給事業者を選択することが必要になる。
小売電気料金が上昇しているのであれば、小売りを行っている事業者の利益が増えるように思われるが、逆に撤退が増えているのは仕入れ価格が上昇し逆ザヤになっている企業がでているからだ。大手電力と呼ばれる北海道から沖縄までの電力会社10社中6社も、21年度決算では発電コストが上昇するため赤字予想になっている。
なぜ、仕入れ価格あるいは発電コストが上昇しているのだろうか。天然ガス、石炭などの発電用の燃料代金が上昇しているからだ。ロシアからの化石燃料購入が多く、日本以上に燃料価格が上昇している欧州でも、自由化を行っている国では電力小売事業者の撤退が続いている。
ロシアのウクライナ侵攻が、これからもエネルギー価格を高止まりさせそうだ。日欧のロシアからの石炭禁輸も電気料金に影響を与えるだろう。これから料金はどうなるのだろうか。