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2022年3月23日

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山本隆三 (やまもと・りゅうぞう)

常葉大学名誉教授

NPO法人国際環境経済研究所所長。住友商事地球環境部長などを経て現職。経済産業省産業構造審議会臨時委員などを歴任。著書に『電力不足が招く成長の限界』(エネルギーフォーラム社)など多数。

 2022年3月22日は「日本没落の始まりの日」として、歴史に刻まれる日になるかもしれない。3月22日、関東地方を中心に東京電力管内では、電力需給が厳しい状況になった。テレビでは1日中節電が呼びかけられ、家電量販店では展示しているテレビの電源が抜かれた。駅では券売機が間引かれ、私鉄では通勤特急の運転が中止になった。

(Pheelings Media/gettyimages)

 看板が点灯しないお店も出てきた。スカイツリーも点灯されなかった。やはり停電が常態化する国になったようだが(「停電が常態化する国へ 日本でEV社会実現は夢のまた夢」)、エネルギー、電力を取り巻く環境が安定供給にさらに影響を与えそうだ。

 昨年からの天然ガス価格の上昇に端を発した欧州エネルギー危機とロシアのウクライナ侵略は化石燃料価格に影響を与え、燃料価格は高止まりしたままだ。日本が輸入する化石燃料、石炭、石油、液化天然ガス(LNG)の値段もこの1年でほぼ2倍になった。

 進む円安がこの状況の追い打ちをかけ、これから発電用化石燃料の価格も電気料金も上がるだろう。しかし、燃料の上昇による電気料金の調整には限度額が設定されており、既に一部の大手電力の燃料費調整は上限に達している。

 消費者は燃料費のさらなる上昇による電気料金の値上げを避けられることになり、電力会社が燃料の値上がり額を負担することになる。消費者には良いことに見えるが、そうではなく安定供給に影響を生じることになる。なぜなら、電力会社の採算の悪化は、発電設備への新規投資の削減と利用率の低い既存火力発電所の閉鎖に結び付き、ただでさえ減っている火力発電設備(図-1)をさらに減少させる。その結果、停電がますます常態化するとの危機に晒される(「何度でも言おう このままでは日本の停電は避けられない」)。電力の安定供給をどう達成するのか真剣に考える時が来た。

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