したがって、本来であれば「プログラミング」という科目を新設し、専門性を有する教員を配置する方が望ましいはずだ。その方が均質なカリキュラムを組むことが容易となり、目的の達成にも資するであろう。
教育の分野では往々にして目的と手段が入れ替わることがある。だが、手段であるはずのプログラミングスキルの向上を目的化してはならない。なぜなら、それにより、ただ単に与えられた問題を解くことと同じく、プログラミングスキルのみを身に付ける訓練になりかねないからだ。それでは、「人間のシステム化」が加速してしまう。
急激に進化するAI・デジタル
「人間ならでは」の強みとは?
そもそも人間の思考は大きく二つの思考方法(システム)で構成されている。一つは外界から五感への入力に対して無意識的・定型的に反応する脊髄反射のような「即応的な思考」である。近年、SNS環境の飛躍的な普及により、他者の発信を見て瞬間的に拡散してしまうことや、分からないことをすぐに検索して答えを探してしまうことが増えている。その結果、しっかりと考えることなく反射的に判断したり行動したりすることが急激に増え、社会全体で「即応・即答が是」という空気が広がっている。
もう一つの思考は、……
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