語られないマスクの効果と弊害
この論文は結局取り下げ処分になったのだが、別の科学雑誌が再度掲載した。科学の世界には少数ではあるが問題がある科学者と問題がある科学雑誌があり、彼らが振りまくニセ科学は一見面白いため科学に弱いメディアが飛びつくという事実を知る人は少ない。
マスクの話に戻って、マスクは熱中症のリスクだけでなく表情を隠すことで子どもの言語の発達に悪影響があると言われる。他方、どの程度感染を防止するのか明確な説明がない。
岸田文雄首相は今月12日に「いまの段階でマスク着用の緩和は現実的ではない」と述べ、政府アドバイザリーボードの脇田隆字座長もマスク着用を含めた基本的対策は必要と述べたが、同じ脇田氏ら感染症専門家と小児科医らは、会話が少ない屋外ではマスクは不要と提言した。
「会話が少ない」とはどの程度か分からないし、そもそも立場が違えば説明が変わるのでは国民の判断指針にならない。ラムズフェルドの分類でいえばマスクの功罪は「知っていること」であり、だから明確な説明ができるはずだが、これまでを振り返ると緊急事態宣言や飲食店の営業短縮などの対策がどのようなリスク最適化の計算に基づくものなのか一切説明がなかった。政府はリスク管理者として説明責任を果たし、リスク最適化を数値で示してほしいものだ。
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当初、〝ウィズコロナ〟だった日本の新型コロナ対策はいつの間にか忘れ去られた。感染と経済・社会のリスク最適化を図るために、政府の覚悟と実行力が問われる。
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