Q5 なぜバイデンは韓国に到着するとサムソン電子の半導体工場を視察したのか?また、なぜ現代自動車の最高経営責任者(CEO)と面会したのか?
A5 国内向けのアピールであることは確かだ。サムソン電子の半導体工場でバイデン氏は演説を行い、同社が昨年5月に南部テキサス州テイラーに170億ドル(約2兆1710億円)を投資して半導体工場を建設すると発表したことに謝意を示した。3000人の雇用を生むからだ。
一方、現代自動車は南部ジョージア州サバンナで先端技術分野に50億ドル(6390億円)の追加支援を行うと発表した。加えて、新工場建設に55億ドル(7030億円)を投じるとも発表した。
バイデン大統領はこれらの投資を歓迎した。8000人を超える雇用が創出されるからだ。岸田首相との共同記者会見においても、バイデン氏は雇用の創出を強調した。
米NBCニュースの世論調査(22年5月7~10日実施)によれば、「米国が直面している最も重要な問題」に関して回答者の22%が「生活費」を挙げ、7%の「ロシアとウクライナの戦争」を15ポイントも引き離した。同調査ではバイデン大統領の生活費に関する支持率は23%、不支持率は71%であった。約50ポイントも不支持が支持を上回った。
バイデン氏は物価高騰を国内問題の最優先課題に挙げた。その対策として同盟国の間で半導体のサプライチェーン(供給網)を強化して、安定確保および供給を目指している。11月8日の中間選挙を控えたバイデン氏は、アジア歴訪中も物価高騰の問題に取り組んでいるというメッセージを米国内の有権者に発信したのである。