2022年8月17日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年6月3日

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 民主主義・人権を前面に押し出すバイデンとしては、原則の問題としてベネズエラのマドゥーロやニカラグアのオルテガと一緒にサミットの記念写真に納まるわけには行かないのではないか。他方、元々キューバに同情的なロペス・オブラドールも、そろそろ左派闘士的本性が表れて来たのか、5月17日には米国の対キューバ禁輸措置は「ジェノサイドのような政策」であり撤廃するべきだと反米的なレトリックを高めた。

所々に見える米国の準備不足

 米国当局者は、未だサミットの招待範囲は最終的に決まっておらず大統領の決定事項だと説明しているが、この段階でそのような説明をすること自体が米側の対応の混乱を浮き彫りにしている。ラテンアメリカの左派諸国をはじめとする多数派は、キューバ等における人権問題を批判はしても対話の場には招くべきとの立場である。

 米州サミットのもう一つの問題は、準備不足であろう。1994年にクリントンが第1回米州サミットを開催した際には、米州自由貿易圏構想を打ち上げた。国務省のサイトによると今次サミットは「持続可能で、強靭な、そして衡平な未来の構築」というテーマであり、何らかの準備はしているであろうが出席したくなるような魅力ある野心的構想は具体的に漏れ伝わってこない。

 少なくともラテンアメリカ諸国が直面している経済再生策、インフレ対策、更には、エネルギーや食糧の確保といった問題に効果的な支援や対策を打ち出す必要があろう。また、エクアドルやウルグアイとの自由貿易協定(FTA)、中米FTAとUSMCA(米国-メキシコ-カナダ協定)の連結、ブラジルのボルソナーロ政権との対話等、国ごとにバイデン政権との間で抱えている懸案や要望に対応する機会としても活用すべきであったのであろう。

  
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