2022年8月10日(水)

2024年米大統領選挙への道

2022年6月1日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授 心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08年~10年、12年~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年と12年米大統領選挙で研究の一環として日本人で初めてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。激戦州南部バージニア州などで4200軒の戸別訪問を実施。10年、14年及び18年中間選挙において米下院外交委員会に所属するコノリー議員の選挙運動に加わる。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。中西部オハイオ州、ミシガン州並びに東部ペンシルべニア州など11州で3300軒の戸別訪問を行う。20年民主党大統領候補指名争いではバイデン・サンダース両陣営で戸別訪問を実施。南部サウスカロライナ州などで黒人の多い地域を回る。著書に「オバマ再選の内幕」(同友館)など多数。

対談は選挙目的?

 米国は今年選挙イヤーである。11月8日の中間選挙を意識して、バイデン大統領はBTSと対談するとみるのが自然だ。

 20年米大統領選挙においてバイデン氏は女性、黒人、ヒスパニック系、アジア系、若者、LGBTQ(性的少数派)から構成された「異文化連合軍」でドナルド・トランプ前大統領を破った。バイデン氏にとってアジア系有権者は重要な支持基盤である。

 今秋の中間選挙で与党民主党は苦戦が予測されている。上下両院の民主党候補にとっても黒人、ヒスパニック系並びにアジア系の非白人票の獲得は不可欠だ。

 中西部ミネソタ州で黒人男性のジョージ・フロイドさんが白人警察官の暴力によって死亡してから2年目の5月25日、バイデン大統領は家族をホワイトハウスに招待し、警察改革の大統領令に署名した。

 米議会では警官に対してパトロール中のボディカメラ装着義務、拘束時の首絞め行為禁止、「ノック不要」の家宅捜査禁止などを含んだ「ジョージ・フロイド法案」が成立していない。そこで、バイデン大統領は大統領令の発令に踏み切ったのだ。大統領令は大統領が在任中のみ有効である。

 バイデン大統領は演説で、フロイドさんの娘が語った「パパが世界を変えるだろう」というフレーズを用いた。演説後、彼女が大統領令に署名した際に使用した椅子に腰かけると、バイデン氏は再度同じフレーズを使って参加者に語り掛けた。人種差別の犠牲者である黒人に寄り添っているというメッセージを発したことは確かだ。

 バイデン大統領はBTSも必要としている。というのは、南部バージニア州第11選挙区のように、黒人よりも韓国系やベトナム系といったアジア系の票が選挙結果を左右する選挙区が存在するからだ。BTSであれば異文化連合軍を構成する若者にもアピールできる。つまり、BTSとの対談はアジア系と若者の票獲得を狙ったものであるといえる。

白人至上主義とヘイトクライムとの戦い

 ただBTSとの対談は選挙目的も含まれるが、バイデン大統領の白人至上主義を絶対に許さないという強い決意に基づいたものであることも間違いない。バイデン氏は20年米大統領選挙に出馬した理由に、17年8月南部バージニア州シャーロッツビルで発生した白人至上主義者と抗議活動家の衝突を挙げている。この衝突で女性の抗議活動家1人が死亡した。白人至上主義者がナチの言葉を叫びながら松明を持って行進している。

 にもかかわらず、ドナルド・トランプ大統領(当時)は「双方にとても良い人たちがいる」とコメントして、「喧嘩両成敗」をした。バイデン氏は現職大統領が白人至上主義者を厳しく非難しなかったことに強い怒りを覚えたという。

 そこでバイデン氏は白人至上主義反対の立場を明確に示し、人種差別との戦いを誓ったのである。大統領就任後もバイデン氏は演説の中で、シャーロッツビルでの白人至上主義者の言動を繰り返し批判している。

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