2022年7月7日(木)

バイデンのアメリカ

2022年5月30日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。著書に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

 米バイデン大統領にとって就任後、初めてとなる今回の韓国、日本歴訪の一つの狙いは、〝近くて遠い〟日韓関係の促進にあった。今後、その成否は、両国政府の本腰を入れた具体的取り組みいかんにかかっている。

バイデン大統領の米韓首脳会談の目的の一つは、日韓関係修復もあった(ロイター/アフロ)

米国にとって理解に苦しむ日韓関係

 「日韓関係は米アジア外交のトゲだ」――。ワシントン特派員時代、懇意にしていた米政府当局者(複数)から耳にタコができるほど聞かされた言葉だ。

 実際、米国から見て、日韓両国ほど理解に苦しむ二国間関係はない。米国は広大な太平洋を隔てて日本、そして韓国両国とそれぞれ緊密な同盟関係にあるのに、一衣帯水の肝心の両国は、ぎくしゃくした関係のまま今日に至っている。「同盟」どころか「友好」関係もおぼつかない状態が続いてきた。

 それでも、米国にとっては、旧ソ連が最大のライバル国であった東西冷戦当時、外交・軍事戦略の主舞台は欧州であり、アジアにおける日韓両国同士の関係それ自体は、重要課題とはみなされなかった。現に筆者が知る限り、カーター、レーガン、ブッシュ(父)、クリントン各大統領が、両国間の関係改善に直接関与した形跡はない。

 ところが、ソ連邦崩壊後、今世紀に入り、中国が新たな脅威として台頭してきて以来、中国とは至近距離にある米国の「二つのかけがえのない同盟国」(リチャード・アーミテージ元国務副長官)、すなわち日韓両国の関係が、米国にとっても無視できない関心事となってきたのである。

 とくに、文在寅前韓国大統領の下で「戦後最悪」と評されるほど冷却化した両国関係は、「米アジア外交の最大のトゲ」となってきたと言っても過言ではない。

 この点で、早くから一貫して「日韓関係改善」の重要性を訴えてきたのが、バイデン氏だった。

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