出院後、成人も含めると仕事に就いている場合と、仕事に就いていない場合では再犯率が約5倍も違ってくると、関係者から聞いたことがある。もちろん職に就いている方が低いことは言うまでもない。また、現在の法務省のHPにも、同様の趣旨の文言が記載されている。
そこで水府学院の就職担当である福谷海法務教官に話を聞いた。
「うちの子で就職が決まるのは2~3割で保護者からの紹介です。就職先は自営業であったり、知り合いなどですね、それがほとんどです。なかにはこちらで就労支援を行う場合があって、ハローワークから会社を紹介してもらって採用に至るケースです。でもそれは少なく、とても難しいのが現状です」
少年院から会社に「こういう子がいるんだけど」と当たることは、少年のプライバシー保護との関係からいろいろ難しい問題がある。
そこで窓口となるのがハローワークなのだ。
また、犯罪・非行の前歴等のために定職に就くことが容易でない保護観察又は更生緊急保護の対象者の事情を理解した上で雇用する民間の「協力雇用主」という制度がある。しかし、これも仮退院の時期と企業の募集時期が合わずに採用に至らない場合が多いと聞いている。
また、少年たちは父親の仕事以外は知らなかったり、テレビで見る情報しか持たないため職業を知らない。そのため、希望する職種が極めて狭いという問題もあるという。
帰るところのない子は更生保護施設へ
それでもまだ帰る家庭があればいい。就職先もなければ親が引き取りを拒み、帰るところのない子もいる。
「親が引き取らない場合は更生保護施設*に入ります。ですが、そこはあくまでも一時的に保護するための施設ですから、未成年でも入所後一定期間が過ぎると出ていかなければなりません」
「その間に自分が生活できるように、住み込みで働けるところを見つけたり、自分でアパートを借りられるように自立しなさいと指導を受けます」
*更生保護施設とは
保護観察中の人で,身寄りがないことや,現在住んでいるところでは更生が妨げられるおそれがあるなどの理由で,直ちに自立更生することが困難な人たちに対して,一定期間,宿泊場所や食事を提供する民間の施設です。宿泊場所や食事の提供を行うだけでなく,保護している期間,生活指導,職業補導などを行い,自立を援助することで,その再犯,再非行の防止に貢献しています。