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田部康喜 (たべ・こうき)

コラムニスト

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

 インタビュアーの道傳は、日本の歴史のなかで、そうした「precarity」に襲われたときに参考になる事例がないかを尋ねる。

 キャンベルが手にしたのは、「豊年教種(ほうねんおしえぐさ)」という書物である。天保の大飢饉で20万から30万人が餓死や疫病で亡くなった際の心構えを書いたものである。

 「おかゆを(飢えた人に出す時は)恭(うやうや)しく」とある。

 この言葉の意味について、キャンベルは次のように説く。

 「困っているのは、気候と天災のせいに過ぎない。明日はわがことである。人知れず、徳を積む、陰徳をつむこと大切であることを書いている。公ではなく、民によるセーフティネットである」と。

3人が考える日本社会のこれから

 ロングインタビューの最後に、登場した3人がそれぞれ、日本社会のこれからについて語っている。

 政治学者の中島岳志は、「われわれは失敗する。殻の中に閉じこもる。弱くなった自分を認める社会でありたい」

 日本文学研究者のロバート・キャンベルは、「言葉や映像では、貧困や戦争を防げない。しかし、言葉をなくした民主主義社会ではなく、言葉飛び交う社会を願う」

 作家の高村薫は、「いまの日本で希望の芽があるかといえば、なかなか難しい。よりよく生きるしかない。私は新聞を読む。小さな記事を読む。自分の生活とまったく関係のないことに関心を持つ」

  
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