米国にとっての半導体は
国の防衛の基本
「One pound lighter, one mile further(ミサイルを1㍀軽くできれば、さらに1㍄遠くまで飛ばせる)」
つまり、米国においては、「半導体こそが国の防衛の基本であり、要である」という認識が染みついているのである。そう考えると、昨今の半導体を巡る米中の主導権争いの理由が自然と理解できる。
一方、戦後の日本には軍需産業はなく、半導体の応用分野は必然的に民生分野に限られていた。こうした点も半導体に対する米国と日本との根本的な危機意識の違いとなって表れているのかもしれない。
昨今では、世界的な半導体不足や米中半導体摩擦(戦争)の報道などの影響によって、日本国内でも半導体への関心は高まりつつある。また、半導体受託生産(ファウンドリ)の世界最大手・台湾積体電路製造(TSMC)の熊本県での工場建設のニュースや7月末に行われた日米外務・経済閣僚協議「経済版2プラス2」では、日米が次世代半導体の研究開発拠点を日本国内に新設し、回路線幅2㌨メートル(㌨は10億分の1)の半導体の共同開発が進められることが決まるなど、明るい話題もある。
それでも、日本の半導体産業は、90年代以降、徐々にその地位が低下し、「絶滅危惧」となりつつあり、官民連携での強力な開発体制を推進しなければ、このまま衰退し続けるであろう。
だが、半導体を失っては、日本に明るい未来は訪れない。分水嶺に立つ今だからこそ、……
◇◆◇ この続きを読む(有料)◇◆◇
◇◆◇ 特集の購入はこちら(有料) ◇◆