民主党大統領候補にとって組みしやすい相手は?
米サフォーク大学と米紙USAトゥディがフロリダ州の有権者を対象に、「24年米大統領選挙における共和党予備選挙の候補がドナルド・トランプ前大統領とロン・デサンティス知事であるならば、あなたはどちらの候補に投票しますか」と質問をしたところ、39.7%がトランプ氏、48.3%がデサンティス氏と答えた。デサンティス氏がトランプ氏を約9ポイント上回った。
仮に24年共和党大統領候補指名争いで、デサンティス氏が指名を獲得すると、民主党大統領候補は、同州よりも東部ペンシルべニア州や中西部ミシガン州といった他の激戦州を重視することが予想される。フロリダ州の選挙人を含まずに、大統領当選に必要な「選挙人270」を獲得する選挙戦略を立てるだろう。
逆にトランプ氏が指名を獲得すれば、民主党大統領候補はフロリダ州を重点州の1つとして選挙資金をつぎ込み、選挙人獲得に乗り出す。フロリダ州に限ってみれば、民主党候補にとって、デサンティス氏よりもトランプ氏の方が組みしやすいからである。
トランプ強さの裏に民主党
日本ではトランプ氏は共和党予備選挙で自分が推薦した候補を勝たせ、圧倒的な強さを発揮したという報道が一部でなされているが、その背景には民主党の戦略があった点は看過できない。
米紙ニューヨーク・タイムズの保守派コラムニストディビッド・ブルックス氏は、米公共放送(PBS)の番組で、民主党が共和党予備選挙においてトランプ氏が推薦したMAGA候補を応援するために、政治広告に少なくとも4400万ドル(約63億3000万円)を費やしたと批判した。その上で、バイデン大統領は「MAGA共和党は民主主義に対する脅威である」と非難するならば、民主党を批判するべきであると主張した。
選挙資金を追跡する独立系団体「オープン・シークレッツ(OpenSecrets)」によれば、東部ペンシルべニア州知事選の共和党予備選挙において、民主党はトランプ氏推薦のダグラス・マストリアーノ候補(同州議会上院議員)を応援する政治広告に84万ドル(約1億2000万円)を費やした。米連邦議会議事堂襲撃事件に参加した過激派の1人であるマストリアーノ候補は、共和党予備選挙で勝利を収めた。
中西部イリノイ州知事選の共和党予備選挙では、民主党は共和党の中道派候補ではなく、トランプ氏が推薦した極右候補に政治資金を注ぎ込んで支援を行い、成功した。一方、西部カリフォルニア州並びにコロラド州では、民主党によるトランプ氏の推薦候補支援の戦略は失敗した。
民主党は本選で相手が過激派候補であれば、勝利を得る公算が高いという政治的計算をしていることが読み取れる。無党派層が離れるからだ。
となると、トランプ前大統領の強さには疑問符を付けざるを得ない。24年米大統領選挙で民主党は、本当はトランプ氏との対戦を望んでいるのではないだろうか。
ホワイトハウスからの機密文書持ち出し、米連邦議会議事堂襲撃事件および、選挙結果を覆すための南部ジョージア州司法長官への圧力でトランプ氏が起訴されても、