2024年6月20日(木)

田部康喜のTV読本

2022年10月6日

手探りなままの後遺症への治療

 新型コロナウイルスの感染症の大きな問題のひとつは、「後遺症」である。いまだに、そのメカニズムと治療は手探りである。

 聖マリアンナ病院の「後遺症外来」に、高校生のさやかさん(仮名)は、昨年の夏から通っている。スポーツ推薦のバレーボールの選手として、高校に入学したが、後遺症のために、選手を断念、高校も通信制に転校した。「夢をなくしてしまった」と、さやかさんは力なげに語る。

 さやかさんの後遺症は、全身を覆うような痛みである。また、「心臓がギューって締め付けられるような感覚がたまにあって」

 治療チームは、さやかさんに新たな療法を試した。鼻の奥のはれている部分の炎症を抑える。これによって、後遺症の倦怠感がなくなる人もいるからだ。さやかさんにも、少なからず効果があった。

 さやかさんは、勉強に取り組むようになった。後遺症外来に通っているときに親身になってくれたことから、心理カウンセラーに興味を持ち始めている。

 後遺症外来に通い始めてから、約1年。さやかさんは、担当から「外来はもうおしまい」と告げられる。

 聖マリアンナ病院の新型コロナに対する闘いのなかで、注目されるのは、亡くなった患者の遺族にも継続して接触、相談を受けていることだろう。

 センターの荒木光政看護師は語る。

 「悲しいまま時が止まっていて、誰にも相談できなかったり、お話しできない。自分のなかでもんもんとした感じですとか、孤独感ですとか。自分も、もともと感染して(亡くなった家族に)うつしちゃって、自責の念にずっとかられているとか。かなり苦しい状態です。

 救命センターにとっては、どうしてもその患者さんの命の救命を優先するわけですが、やっぱりひとりの患者さんをみることは、その家族ですとか、家族を見るという視点も非常に大事だなというところで、なかなかいままでは、家族に対して、こうした関わりができなかった」と。

 コロナ禍がいつまで続くのか、誰にもわからない。コロナから身を守る免疫が一気にできるワクチンの登場は期待できないようだ。後遺症の問題も、いまさらながら、深刻である。

 このドキュメンタリーによって、八方ふさがりのような状況が一歩でも前進することを願ってやまない。

   
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