国際情勢では、トランプ外交に代わり登場したバイデンが民主主義等を重視する価値観外交を前面に出す中、ロシアのウクライナ侵略が勃発し、西側諸国は、今のところ米国を中心にウクライナ支援で結束している。
米国内のトランプ支持派がこの論説が指摘する問題の深刻さを理解することは期待しがたいが、多少とも良識を持った者であれば、ソラナの危機感に共感できよう。
トランプ派への風向きはどう動くのか
米国内の雰囲気には変化が見られ、7月以降、最高裁の中絶禁止容認判決、トランプの機密文書持ち帰り問題等がバイデンへの追い風となり、またインフレ対策法案も成立したことから8月に入り、バイデンへの支持率が回復し、政党支持率も民主党が逆転したとの世論調査結果もある。
通常、中間選挙では政権側が負けるので、今回も当初は民主党の大幅な退潮が予想されていたが、現在では、上院では民主党が勝つ可能性があるとの見方も出て、下院でも不利とされる民主党がどこまで盛り返せるかが注目される。
仮に予想外に民主党が善戦すれば、トランプがその選挙結果を認めず、トランプ支持の過激派が暴力的行動に出る可能性もある。その場合は、共和党良識派や無党派層のトランプ離れを一層加速する効果を持つであろう。
バイデンは、2024年の選挙に再選を求めるのか、未だ明言していない。既に、トランプが共和党の候補として有力であるので、そうなれば一度は打ち負かした実績のあるバイデンとしてはむしろ戦いやすく、再選立候補することもあろう。今回の名指し非難演説もその布石ともなると考えられる。