そして、無視できないのは中国の人権問題であるが、ドイツの経験が示すように、ビジネスを進めながら、言うべきことを言うことは不可能ではない。フランスは、人権重視の原則を保ちつつ、中国のパートナーになり得るのである、と述べています。
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上記社説は、ビジネスを中心とした中仏関係の発展を奨励するものです。
オランド政権がアジアに関心を寄せるようになったことは、良いことでしょう。その上で、日本の観点から、フランスないし欧州との関係を考えてみたいと思います。
まず、天安門事件以来、EUが継続している対中武器禁輸に関してです。中国は、前々から、対中武器禁輸の解除を求めてきています。しかし、アジアの平和・安定及び人権尊重の観点から、日本は、武器禁輸継続を欧米に働きかけて行くべきでしょう。同時に、日本としては、欧米との、防衛技術を含む先端技術交流を進めて行くことが重要です。
次に、フランスのアジアへの関心を、中国に止めず、日本への関心にまで高めてもらうことです。日本の「アベノミクス」は、第一義的には国内の景気回復が目的ではありますが、その成功が、欧州経済を含む世界経済に好影響を与えることを示せれば、更に関心を呼ぶでしょう。
更に、日本のTPPへの参加が決まりましたが、今年から日本とEUとの経済交渉も始まりました。そして、オバマ政権も、EUとの自由協定(T-TIP)を求めています。将来的に、これらが完成すれば、グローバルな民主主義の自由経済圏が誕生することになります。
6月に、第二期安倍政権の最初の国賓として、オランド大統領が訪日します。新首脳同士が新たな外交関係を築くと、上記社説でも指摘されているが、その点は日仏関係にも当てはまる。安倍総理とオランド大統領は新首脳同士であり、同い年でもある。様々な分野で、日仏両国の共通利益を発展させることが出来るかもしれない。
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