2024年12月6日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年11月1日

 ただ、ロシア軍がキーウをミサイルなどで攻撃し、ベラルーシ領内に9000人ものロシア軍を派遣していることは懸念材料ではある。兵員不足の中、何をしようとしているのかよくわからない。装備については、ベラルーシから戦車などがロシア領に運ばれているということであり、キーウを再度攻める動きが出てきているとも思われないが、今後の動きに注意を払う必要がある。

ベラルーシ国内の情勢にも影響

 ルカシェンコは、ウクライナ戦争に参戦するのはプーチンの部分動員がロシア国民の反発を呼んだように、ベラルーシの国内の不安定化につながると思っていると見られる。そういうわけで、上記の解説記事にもあるように、ベラルーシの兵力を戦闘に派遣せよとのロシアの圧力への不安を示している。10月21日には、もっと踏み込んだ表現で「われわれには戦争は必要ない」と述べた他、ウクライナ人は同胞であるとも言っている。

 ベラルーシ軍は空軍と陸軍よりなる5万人足らずの軍でしかない。装備も旧式である。仮にウクライナ戦争に参戦しても、戦況がそれで大きく変わることはないと思われる。

 ベラルーシの国内情勢については、今はリトアニアに亡命中のチハノフスカヤ周辺が、ウクライナ戦争の帰趨によってはルカシェンコ政権が終わるとの期待を持ち、元気づいているというこの記事の指摘は正しいと思われる。チハノフスカヤを首班とするベラルーシ亡命政権は将来の軍事組織の萌芽のようなものを持っているが、これへの志願者の登録数は20万人を超えたとの報道もある。

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