2024年4月20日(土)

バイデンのアメリカ

2022年11月10日

共和党議員たちはどう見ているのか

 では実際に、共和党下院の当該議員たちはどう考えているのだろうか。

 政治問題ネットメディア「Politico」は、今後の対中国政策を左右する各委員会委員長への就任が予想される有力共和党議員たちにそれぞれ見解をただしたところ、次のような回答が寄せられたと報じている:

 ジョン・カトコ次期「国土安全保障委員会」委員長候補「われわれは今後、さまざまな『中国の脅威』に焦点を絞り込んで取り組んでいく。現政権は、ワシントンで活動する中国『孔子学院』の実態、北京五輪開催、対米サイバー攻撃などの問題に敢然と立ち向かわなかった。米国産業のためのサプライチェーンの在り方も、国土安全保障に直接かかわる問題である。このほど『半導体・サイエンス法』が成立したが、それだけでは不十分であり、重要産業の生産拠点についても中国からわが本土に回帰させる構想について真剣に検討していく必要がある」

 マイケル・マコール次期「外交委員会」委員長候補「商務省内には、中国を含む諸外国への輸出ライセンス諾否を判断する『産業・安全保障局』があるが、認可した輸出品が中国でただちに軍事転用されるケースが多々ある。しかし、現政権の当局はこれを放置してきた。来年1月からは、共和党主導の当委員会において、これを徹底的に見直していく。また、軍事委員会と協調した上で、過去3年間、棚ざらし状態になっている台湾への武器供与を積極的に推進していく。現下のウクライナ戦争が物語っている通り、侵略後の軍事援助より、侵略前に(台湾を)テコ入れするほうがはるかにましであることは明白だ」

 フランク・ルーカス次期「科学・宇宙・技術委員会」委員長候補「中国が地球外への覇権拡大に消極的だと思ってはならない。すでに裏側の月面で探査車両を駆動させ、新たに打ち上げた通信衛星と頻繁に連絡を取り合っている。宇宙で大国間同士が、科学、テクノロジー面で競い合うことはさておくとしても、問題は、開かれた宇宙のサイエンス・コミュニティが将来にわたって保たれるかどうかだ。もし、地球外が中国共産党指導体制の下、人民解放軍の展開する宇宙計画によって占められることになるとすれば、今後何世代にもわたり、悲劇を招くことになるであろう」

 マイク・ターナー次期「情報委員会」委員長候補「新議会では、軍事委員会との関係を緊密化し、敵対国中国などが力を入れているサイバー、生物兵器、宇宙兵器、核兵器計画、悪意ある対外影響力行使、偵察などの脅威についてただちに真剣に検討する用意がある。バイデン政権は、いたずらに中国を刺激しないよう慎重な姿勢をとってきたが、そうした態度をとり続ける限り、中国の挑戦に敢然と立ち向かうことはできない」

 このほか、台湾政策に関しては、すでに下院で去る9月、台湾への軍事援助拡大、関係強化策などを盛り込んだ「2022年台湾政策」法案が上程されているが、同法案には、トランプ支持派議員なども含め36人もの共和党議員が「共同提案者」として名を連ねている。

 このため、新議会では、共和党主導による一段と対中国対決色を強めるさまざまな動きが活発化することは必至の情勢だ。

   
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