2022年12月9日(金)

2024年米大統領選挙への道

2022年11月24日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授 心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08年~10年、12年~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年と12年米大統領選挙で研究の一環として日本人で初めてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。激戦州南部バージニア州などで4200軒の戸別訪問を実施。10年、14年及び18年中間選挙において米下院外交委員会に所属するコノリー議員の選挙運動に加わる。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。中西部オハイオ州、ミシガン州並びに東部ペンシルべニア州など11州で3300軒の戸別訪問を行う。20年民主党大統領候補指名争いではバイデン・サンダース両陣営で戸別訪問を実施。南部サウスカロライナ州などで黒人の多い地域を回る。著書に「オバマ再選の内幕」(同友館)など多数。

24年共和党予備選挙への影響

 米中間選挙後に行われたハーバード大学と世論調査会社ハリスによる共和党支持者を対象にした共同世論調査(22年11月16~17日実施)では、「もし2024年共和党予備選挙が今日行われたら、あなたは誰に投票しますか」とい質問に対して、1位がトランプ前大統領の46%、2位がロン・デサンティスフロリダ州知事の28%であった。だが、前回の調査結果と比べると、トランプ氏は9ポイント減らし、デサンティ氏は11ポイント増やした。

 デサンティス知事が出馬すれば、共和党予備選挙は2人の戦いになる公算が高い。仮にそうなった場合、トランプ氏を対象にした刑事捜査は、共和党予備選挙と24年大統領選挙に影響を及ぼすことは必至である。すでにBBCのある記者は、米司法省がトランプ起訴の確固たる証拠を掴んだので、特別検察官任命に踏み切ったとみている。

 となると、スミス特別検察官が捜査結果を共和党予備選挙の直前に発表すれば、トランプ前大統領に不利に働くことは明らかだ。デサンティス知事が立候補していれば、逆に同知事に有利に働くことになる。共和党予備選挙の最中に、スミス特別検察官が捜査結果を発表した場合も同様に、デサンティス知事にプラスになる。

最重要ファクター

 仮にトランプ氏が共和党予備選挙を勝ち抜き、本選に進み、スミス特別検察官が24年11月5日の投開票日直前に捜査結果を発表すれば、選挙結果に多大な影響を及ぼす「オクトーバーサプライズ(10月の驚き)」になる可能性が高まる。もしそうなれば、このオクトーバーサプライズは、民主党大統領候補に大きなメリットをもたらすことは確かだ。ただ、スミス特別検察官は政治的動機に基づいた判断を下したとして共和党からかなり厳しい非難を浴びることになるだろう。

 2016年米大統領選挙におけるトランプ陣営とロシアとの共謀等に関する「ロシア疑惑」の捜査を指揮した米連邦捜査局(FBI)のロバート・モラー元特別検察官は、捜査に約2年を費やした。ただし、今回はトランプ氏の機密文書持ち出し並びに21年1月6日に発生した米連邦議会議事堂襲撃事件に関する判断材料は十分整っており、結論に至るまでに2年はかからないと見られている。従って、スミス特別検察官が結論を発表するのは共和党予備選挙の前後になるかもしれない。

 いずれにしても、いつスミス特別検察官がトランプ前大統領に対する刑事捜査の結論を出し、どのタイミングで発表を行うのかが、24年米大統領選挙を占う上で極めて重要なファクターになってくると言えそうだ。

  
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