「やらなければいけないことはたくさんあったから、それをやってきただけ。リハビリもサボりながらやってきた」
大病をして、障害を負ったことで人生観が変わったのではないかと幾度も聞かれた。出口はその都度、「何も変化はありません」と答えてきた。
「どうせ誰もが死ぬ。それなら楽しまなければ損」
倒れた当初の1カ月間は、自分の身に何が起きたのかを理解するための時間だったという。だが、思考を巡らす日々においても、毎日食事をとり、眠ることができていたことに気がついた。
「結局、人間は動物なんだと思いました。動物だから病気になって回復しなければ死ぬだけです。70歳を超えたら、あとは運次第。どうせ誰もが死ぬのです。それなら楽しまなければ損です」
出口がこのような考えに至ったのは、……
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Wedge 2022年11月号より
価値を売る経営で 安いニッポンから抜け出せ
バブル崩壊以降、日本の物価と賃金は低迷し続けている。この間、企業は“安値競争”を繰り広げ、「良いものを安く売る」努力に傾倒した。しかし、安易な価格競争は誰も幸せにしない。価値あるものには適正な値決めが必要だ。お茶の間にも浸透した“安いニッポン”─。脱却のヒントを“価値を生み出す現場”から探ろう。