2024年11月25日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年12月22日

 それでも、ラマポーザのプーチン傾斜はなかなか理解できない。まだ何か表に出ていないことがあるのかもしれない(それがラマポーザの信念によるものとは思えないが)。ラマポーザは、反アパルトヘイト闘争の一角を主導した労働組合指導者であり、マンデラの指示の下に白人政権との政権交渉をした代表であり、マンデラの後継者選に敗れビジネス界に転じ大富豪になった人であり、総じて品格のある思想の持ち主だった。

問われる「グローバル・サウス」との関係

 南アフリカの国のムードが、アパルトヘイト闘争勝利の後の理想に燃えた10数年から段々変わって来ている。ここ数年(トランプの時期)、米国との関係もあまり良好でない。米国もしっかり南アフリカと関与していくべきだ。経済的にも、政治思想的にも南アフリカは未だアフリカの星である。8月上旬ブリンケン国務長官が南アフリカなどを訪問した。さらに9月にはラマポーザがワシントンを訪問、バイデンと会談した。このような関与を続けていくことが、アフリカで中ロと競争していくために重要である。

 最近「グローバル・サウス」との関係が問題とされるが、アフリカの国々は民主主義への賛否といった高邁なことよりも、まず自分達の目先の利益を損なうことは避けるとの原則から行動しているように見えるので、あまり心配しなくてもよいのではないか。大国の競争に巻き込まれたくないとの思いも強い。しかし、これらの国々との関係を当然視してはならない。関与や往来を強化していくことが一層重要である。

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