2024年7月14日(日)

経済の常識 VS 政策の非常識

2013年6月14日

金利上昇の効果はどれだけか

 この状況で、金利が上がると地方銀行全体にはどのような影響があるだろうか。金利が上がると、もちろん債券価格は下落する。物価上昇率がゼロから2%になれば、金利が現在の1%弱から3%になってもおかしくない。すると、金利1%、残存期間10年の国債を持っていて、金利が3%に上がると国債価格は17.1%下落する。しかし、日本全体の国債の残存期間が7年余りという中で、地銀が、残存期間が平均で10年の国債を持っているということはあり得ない。特に、社債の期間は短いだろう。

 そこで、国債・地方債、社債を合わせて平均の残存期間が現在5年だとしよう。これでも長すぎると思うが、まあよしとしよう。金利1%、残存期間5年の国債の価格は、金利が3%に上がると国債価格は8.7%下落する。ただし、金利が上がるのは景気が回復して物価が上がったときである。2年後に物価が2%に上がると思っている人はあまりいないようだから、金利が3%に上がるのは早くても2年後である。せっかく日銀が買ってくれるのだから、保有国債を売っていれば、2年後には平均の残存期間は3年になっている。金利1%、残存期間3年の国債の価格は、金利が3%に上がると5.3%下落する。

 国債・地方債、社債の総資産に占める比率は29.2%である。すると地方銀行の総資産は29.2×5.3%で1.5%下落する。銀行の自己資本は8%程度のものであるから、1.5%も総資産が減ってはたまらないと、地銀が景気回復と金利上昇を嫌がるのも分かる。

 なお、日本銀行も同じ問題意識を持っており、「全年限の金利が同時に1%上昇する場合の・・・金利リスク量は、2012 年3月末時点で、大手行で3.7 兆円、地域銀行で3.0 兆円、信用金庫で1.6 兆円である」という(「金融システムレポート」図表IV-3-16、2012年10月)。

 ここで地域銀行と言っているものは本稿で地銀と呼んでいるのと同じである。本稿では%で示していたが、金額で言えば以下のようになる。まず地銀の国債・地方債、社債の保有額合計は77兆円である。残存期間が現在平均5年とすると1%の金利上昇で価格下落幅は77兆円×4.5%(金利が1%から2%に上がった場合の下落率)で3.5兆円である。日銀によると3.0兆円だから、日銀の方法もほぼ同じであるようだ。


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