2024年7月23日(火)

経済の常識 VS 政策の非常識

2013年6月14日

 しかし、地方銀行は同時に株や外国証券も持っている。株価は5月23日の暴落の後でも昨年12月のアベノミクス登場以前と比べて4割上がっている。株式の総資産に占める比率は1.7%である。これが40%上がると銀行の総資産は1.7×40%で0.7%しか上がらない。外貨建て資産も考慮すべきだが、地銀は為替リスクをヘッジして外国証券を持っていることが多いので、外国証券の価格が円安で上がることは考慮しない方が良いだろう。

 先ほどの国債・地方債、社債の下落による総資産の下落率が1.5%だから、株式資産が0.7%上がっても、総資産は1.5-0.7で0.8%下落する。だから嫌だというのかもしれないが、景気が回復すれば貸出の質が高まる。円安によって地方の観光地に外国人が増えている。地方の工場への部品の発注も回復の兆しがある。地方銀行全体としては、景気上昇にともなう金利上昇の効果はプラスだろう。

いつするか、今でしょう

 もちろん、中には貸出がわずかで、株式も外国証券も保有せず、国債ばかりを持っているという銀行があるのだろう。白い日銀時代(『白い日銀から黒い日銀への大転換』参照)には日銀官僚が大騒ぎしていたのだから、そうなのだろう。しかし、貸出がなく国債ばかりを持っていて、国債の価格変動リスクに備えて株式や外国証券も持っていない銀行とは何なのだろうか。有望な企業を探す目利き能力がなく、資産価格の変動リスクに対処する能力もない銀行なら、破綻するのもやむを得ないのではないか。貸出先がないのだから、急に融資を止められて困る企業もわずかということになる。

 何よりも考えなければいけないのは、デフレを永久に続けることができるのかということである。いつまでも景気の低迷が続けば、貸出先のない銀行はいくらでも国債の保有を増やしていく。リスクはさらに高まっていくのだ。20年前に黒田緩和をしていれば一番良かったが、20年後にすればさらにリスクが高まるのだから、今、緩和をするしかないでしょう、と言いたい。

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