2024年11月22日(金)

バイデンのアメリカ

2023年1月2日

ウクライナへの支援は続けられるか

 その中で、最大重要課題はいぜん、対ウクライナ政策であることに変わりない。

 ロシアの極悪非道なウクライナ侵攻とその後の容赦ない軍事攻勢は、自由民主主義そのものへの許しがたい挑戦であり、バイデン大統領が就任演説以来力説してきた「専制主義との戦い」の真価が問われているからだ。

 米上下両院で、去る12月22日、23日の両日、あわただしく可決された23年9月までの1兆7000億ドルもの「オムニバス(包括的)歳出法案」の中に、ウクライナに対する450億ドルに上る経済・軍事支援も盛り込まれたのも、バイデン政権の強い意思を反映させたものにほかならない。

 とくに22日の上院審議では、民主党議員50人のほかに、ミッチ・マコーネル院内総務をはじめ共和党議員も18人が賛成票を投じ、ある程度、超党派的動きがみられたことは、大統領にとって、意を強くするものだった。 

 ところが、翌23日に行われた下院審議では、同法案が賛成225人、反対201で採択されたものの、共和党議員のうち、9人を除く全員が反対する結果となった。

 共和党下院議員の大多数が「オムニバス法案」に反対した理由として、大規模歳出による財政赤字拡大、物価の異常高騰、中南米からの移民急増などへの懸念が指摘されている。     

 その下院は年明けから、野党共和党が議長ポストはじめ多数支配体制を奪還、内政重視の姿勢をより鮮明に打ち出すことが予想されるため、バイデン政権にとっては、23年9月以降、とくに予算面においてこれまで通りの対ウクライナ支援を継続できるかどうか、不安要因を抱え込むことになる。

中国との関係は?

 外交面で、ウクライナ問題と同時にバイデン政権が重視するのが、対中国政策だ。

 この点に関して注目されるのは、去る23日、大統領の署名で成立した「2023会計年度国防権限法」の議会審議でみられた超党派的動きだろう。

 同権限法に基づく予算総額は、前年度比10%増の8580億ドルとかつてない空前規模となったが、その中には手厚い台湾への支援強化策が盛り込まれ、具体的に今後5年間で100億ドルの軍事援助が確定した。その議会審議の際に、野党共和党は上院のみならず下院においても、ほとんどの議員が支持に回った。

 このことは、対ウクライナとは異なり、対中国に関しては米議会が与野党問わず強硬姿勢に転じつつあることを示唆している。

 ただ、バイデン政権にとって、懸念材料がないわけではない。


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