2023年2月2日(木)

バイデンのアメリカ

2022年12月8日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。著書に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

 先の米中間選挙結果を踏まえ、共和党大口献金者たちの間で、「トランプ時代は終わった」として2024年大統領選に再出馬した同候補への支持を相次いで取りやめる動きが出始めている。党内では若手候補待望論が盛り上がる中、トランプ氏は再選を果たせなかった前回選挙以上に苦戦は避けられそうもない。 

(AP/アフロ)

「トランプ不支持」を表明する億万長者たち

 民主、共和両党候補が大統領選につぎ込む選挙資金は近年、際限なく膨れ上がりつつある。当然、資金集めもし烈を極めることになる。

 選挙資金監視団体として知られるネットメディア「Open Secrets.org」などのデータによると、ドナルド・トランプ(共和)、ヒラリー・クリントン(民主)両候補が激戦を演じた16年大統領選では、それぞれの選対本部、党全国委員会、支持団体が投じた資金総額は、両陣営合わせ、約23億ドル(約3100億円)となった。しかし、トランプ氏がバイデン候補と戦った20年選挙では、双方合わせ約36億ドル(約4860億円)と、一挙に13億ドル(約1755億円)も増えた。

 また、20年選挙については、これ以外にも、ツイッターなどのフリーメディアを介した小口献金が激増しており、それらを加えると、投入資金総額は、約57億ドル(約7695億円)にも達している。

 毎回の大統領選で、「mega donors」と呼ばれる全米億万長者たちの大口個人献金も、選挙戦の趨勢に大きな影響を与えることは言うまでもない。

 ワシントン・ポスト紙の追跡調査によると、16年選挙では、トランプ陣営の場合、1口50万ドルを超すこれら富裕層の個人献金が、選挙戦につぎ込まれた資金総額の30%以上を占めていたことが明らかになり、改めてトランプ氏当選に大きく寄与したことが浮き彫りになった。

 ところが、24年大統領選については、トランプ氏が去る11月15日、出馬意向を公式表明した直後から、名だたる億万長者たちが「トランプ不支持」の狼煙を上げ始めた。

 先陣を切ったのは、大手金融投資会社「Blackstone」のスティーブン・シュワルツマンCEO(最高経営責任者)だった。

 前回選挙でトランプ氏に対する最高額の個人献金者として知られた同氏は先月16日、声明を読み上げ「今日と昨日ではなく、今日と明日に根を下ろした米国こそが良い結果をもたらす。わが共和党は今や、新世代のリーダーたちと向き合うべきだ。私は、次回大統領選予備選では、(トランプ氏ではなく)そうした人物の中の誰かを支援していくつもりだ」と明言、マスコミで大きな話題となった。

 続いて翌日には、個人献金額第2位だった大手ヘッジファンド会社のケン・グリフィン社長夫妻が、TV会見で次回選挙について聞かれ「共和党は、もはや3連敗をもたらした人物ではなく、他の誰かを支えていく時が来た」と述べ、18年中間選挙、20年大統領選挙、22年中間選挙で思わしくない結果を招く要因となったトランプ氏との絶縁を公言した。その上で、共和党の若手ホープとして人気度が高まりつつあるフロリダ州のロン・デサンティス知事について「もし、彼が正式立候補すれば積極的に支援する」と述べた。


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