2022年12月9日(金)

バイデンのアメリカ

2022年11月18日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。著書に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

 米中間選挙は、共和党がかろうじて下院で多数を制したものの、「トランプ時代」の終焉を予告する指摘があいついでいる。トランプ前大統領は去る15日、2年後の大統領選出馬を表明したが、最新の政治状況は、初当選を果たした2016年当時と大きく変質したことを示唆するものだ。

(ロイター/アフロ)

トランプはどれくらい負けたのか

 トランプ氏は、今回の出馬表明演説の中で「私が推薦した多くの候補者が中間選挙で勝利した」と自賛した。しかし実際は、これら当選者の大多数が現職候補であり、しかも、選挙戦開始前から、当選がほぼ確実視されていた。専門家たちは、「当選者たちの勝因は、トランプ氏推薦とはほとんど関連ない人物ばかりだった」と結論付けている。

 むしろ、今年の中間選挙の最大のハイライトは、主要州の上院、下院、州知事選などにおいて、トランプ氏が本腰で推薦した極右候補の大半が敗退したことだった。

 その〝戦績〟をつぶさに振り返ると、以下の通りだ:

・上院選=ネバダ、ペンシルベニア、ニューハンプシャー、アリゾナ各州で、極右的な〝トランピズム〟を選挙スローガンとして前面に掲げた共和党候補がいずれも敗退。また、毎回大統領選で重要なカギとなる南部ジョージア州では、トランプ氏は元有名プロフットボール選手のハーシェル・ウォーカー氏を新人候補として個人的に支援、現職のラファエル・ウォーノック候補(民主)と対抗させたが、大接戦のまま、決着がつかず、来月の決戦投票まで先延ばしとなった。

 例外は、オハイオ州で、新人のJ.D.バンス候補が〝ラストベルト〟(さび付いた工業地帯)労働者層の多くの支持を集め、初当選を果たした。

 しかし、大票田州のひとつであるペンシルベニア州や、保守的体質の強いアリゾナ州で敗退したことは、トランプ氏にとっても予想外だった。

・下院選=政治分析メディアとして知られる「Cook Political Report」の分析結果によると、「民主、共和両党のどちらかがわずかに優勢」とみられていた64の選挙区において、トランプ氏は21人の候補を推薦していたが、当選者はその3分の1の7人にとどまった。事前予想で「互角」とみられていた別の36の接戦区では、トランプ氏推薦候補の当選者はたった1人だったという。

 州別で見ると、オハイオ、ペンシルベニア、コロラド、ミシガン、バージニア、ノースカロライナなど主要州の選挙区の中で、それぞれ2人以上のトランプ氏推薦候補が敗退する結果となっている。

・州知事選=ペンシルベニア、ミシガン、ウィスコンシン、ニューヨーク、コロラド、メリーランド、イリノイ、ミネソタ、カンザス、アリゾナの主要州で、トランプ支持候補がいずれも民主党候補に敗れた。ネバダ州だけは、辛勝した。

 これらの州のうち、全米の注目を集めたアリゾナ州知事選挙では、トランプ氏は当初から地元TV局女性キャスターのカリ・レイク候補を積極的に支援、自らも応援演説に出向くなど大きな期待を寄せていたが、結果的に、民主党の現職候補の前に接戦で敗れ、失望をあらわにした。

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