2022年12月9日(金)

21世紀の安全保障論

2022年11月21日

»著者プロフィール
著者
閉じる

辰巳由紀 (たつみ・ゆき)

スティムソン・センター日本部長

キヤノングローバル戦略研究所主任研究員。東京生まれ。国際基督教大学卒業後、ジョンズ・ホプキンス高等国際問題研究大学院で修士号取得。在米日本大使館専門調査員、戦略国際問題研究所(CSIS)研究員などを経て2008年より現職。2012年よりキヤノングローバル戦略研究所主任研究員を兼任。専門は日本の防衛政策、日本の国内政治、日米安全保障関係、米国の対アジア安全保障政策。

 米中間選挙の投開票から10日近くが経過した11月17日、ようやく米国内の主要メディアが、共和党が下院で218議席を獲得し、多数党になることが確定したことを報じた。すでに、共和党側ではケビン・マッカーシー下院共和党院内総務が新会期では下院議長に立候補する意思を表明、ミッチ・マコーネル上院共和党院内総務も、院内総務に再選された。

米中間選挙で、トランプ前大統領は米国民にとってどのような存在になったのか(AP/アフロ)

 対する民主党側では、この結果に伴い、「敗軍の将」である民主党のナンシー・ペロシ下院議長は、17日、議員を引退することはしないものの、新会期では議会指導部の職務は後進に譲る意思を明らかにした。

 しかし、まだ下院では4議席の投票結果が確定しておらず、共和党の勝利が確定している議席は219議席で、212議席獲得した民主党との差はわずか7議席。上院でも、現時点で民主党が50議席、共和党が49議席を獲得、民主党が多数党の座を死守することは決まったものの、残る1議席のジョージア州は、12月6日に決選投票を終えるまで最終結果は判明しない。つまり、上院でも下院でも、多数党と少数党の議席数は拮抗したままなのである。

最後の最後まで読めなかった選挙結果

 正直、今回の中間選挙がこのような結果になることは、ほとんど誰も予測していなかった。そもそも、選挙を迎えるまでの過去1年間、選挙結果の見立てはジェットコースターのようにめまぐるしく揺れ動いた。

 米国を「脱・コロナ時代」に導いた大統領として、安定した支持率を持っていたバイデン大統領だったが、昨夏に、晴天の霹靂のように突如、アフガニスタンからの米軍撤退を表明。この米軍撤退がアフガニスタンで大混乱を引き起こしたことが引き金となってバイデン大統領の支持率は急落した。

 さらに、今年2月に始まったロシア・ウクライナ戦争の影響で石油価格や穀物の価格が急上昇。昨年末からその兆候が見えていたインフレが本格的に庶民の生活をひっ迫し始めたことで、そもそも、中間選挙自体が「現政権への中間成績表をつける選挙」という性質の選挙であることもあり、今年の春過ぎぐらいまでは共和党の大勝利が見込まれ、共和党の党色の赤になぞらえて「赤い波(Red Wave)」が中間選挙では席捲すると言われていた。

新着記事

»もっと見る