2024年4月23日(火)

バイデンのアメリカ

2022年12月8日

 この間、トランプ氏が次期大統領選への出馬を正式表明したことから、仮に司法省捜査がトランプ氏起訴に向けて大詰めを迎えつつあるとしても、「政治介入」の批判を回避するため、最終結論を出すのは、24年11月以降になるとみられる。

 しかし、途中の捜査状況については、リークなどを含め関連情報が今後もメディアを賑わし続けることになる。トランプ氏のさらなる信用失墜だけにとどまらず、ひいては選挙資金プールのための個人献金にも影響が及びかねない。

トランプは民主党にとって脅威となるのか

 こうした中、今月7日、全米の注目が集まったジョージア州における上院選の決選投票では、トランプ氏が個人推薦して立候補していた元プロフットボール選手のハーシェル・ウォーカー氏(共和)が、民主党で現職のラファエル・ウォーノック議員の前にあえなく敗退した。ウォーカー氏はトランプ氏同様、20年大統領選挙結果を否認し続けてきたほか、コロナ対策のための外出規制やマスク着用などバイデン政権による政策をことごとく批判するなど、過激な発言が目立っていた。

 結局、先の中間選挙のうち、上院選ではトランプ氏が後押しした候補がネバダ、アリゾナ、ペンシルバニア、ニューハンプシャー、そして今回のジョージア州と、主要5州で敗退。また、州知事選では、アリゾナ、ミシガン、ペンシルバニア、ジョージア各州でもトランプ支持候補はいずれも当選を果たせなかった。

 トランプ氏のかつての〝威光〟は、明らかに陰りを見せ始めている証左だろう。

 上記のような最近の政治動向を反映してか、米議会を中心とした政治メディア「The Hill」は先月末、「民主党はトランプ共和党指名候補を待望(Democrats pine for Trump as GOP nominee)」との見出しの皮肉に満ちた解説記事を掲載した。

 それによると、次回選挙への出馬に意欲を示しているバイデン大統領自らが、前回選挙でトランプ再選を阻みホワイトハウス入りしたことで自信を強めているだけでなく、側近たちの間でも、今年の中間選挙で特に野党共和党が伸び悩んだ背景としてトランプ氏の存在があったとして、同氏を「最もくみしやすい相手」とみなしている。そしてトランプ候補が共和党予備選を勝ち抜き、最終的に同党指名候補となることを期待しているという。

 言い換えれば、トランプ氏はもはや、次回大統領選に向けて、民主党現政権にとっての「真のライバル」ではなくなりつつあることを示唆している。

 それでも、果たして2年後に、かつてのような〝トランプ・ブーム〟の再来が起こりうるのだろうか――。不確定要素はまだいくつも残されていることには変わりない。

   
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