そして最高裁は年末ぎりぎりの同月27日、「42項」について、共和党の主張通り「当面維持」を容認する判断を下した。
一方、バイデン政権は進歩派の突き上げもあり、直前まで「地裁裁定を尊重する」と表明してきたため、それが却下されたことで、苦しい立場に追い込まれることになったといえる。
「第42項」が当面継続されたとしても、不法入国者の数は増え、国外追放者もさらに増え続けることは必至であり、国際問題に発展しかねない。
バイデンは大統領選に出馬するのか
最後に、バイデン大統領の2024大統領選出馬問題がある。
これまでのところ、①もし出馬し、再選された場合、就任時には84歳と史上最高齢となり、健康が不安視される、②いくつかの世論調査では、いずれも「出馬不支持」が過半数を超えている――などから、米マスメディアの間では、否定的見方が少なくない。
しかし、政治メディア「The Hill」は、去る12月25日、最新情報として、「出馬は確実となった」との見方を伝えた。
その論拠として、①現時点で民主党では誰一人として対抗馬が名乗りを上げてない、②ロン・クライン大統領補佐官が「クリスマス休暇明けにも、出馬の正式発表があるだろう」と語っている、③大統領自身がすでに選対本部長の人選、民主党指名候補を最終的に選ぶ党大会の開催都市などについて、党幹部、財界有力者に打診し始めている、④12月上旬、ホワイトハウスで行われたマクロン仏大統領歓迎夕食会の際、隣のテーブルに座ったジル・バイデン大統領夫人が夫の出馬について聞かれ、「再選キャンペーンのための準備はできている」とマクロン大統領に漏らしたことが明らかにされた――などの点を挙げている。
一方、共和党側でも、23年春ごろまでには、すでに出馬表明しているトランプ前大統領のほかに、若手ホープとして期待が高まりつつあるロン・デサンティス・フロリダ州知事ら何人かの有力者が共和党候補として名乗り出るとみられており、今年は次期大統領選に向けた両党間のせめぎあいがいよいよ本格化する〝政治の年〟を迎えることになる。