2023年1月30日(月)

バイデンのアメリカ

2023年1月2日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。著書に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

 忍び寄る「孤立主義」との戦い――。バイデン米政権にとって2023年の最大課題は、「米国第一主義」の国内ムードをいかに克服し、専制主義の中国、ロシア相手にどこまで自由主義陣営の結束を固められるかにかかっている。

(ロイター/アフロ)

ゼレンスキー大統領招待の真意

 「米国民は、ロシアと戦い続けるあなたの国を必要なだけ支援していく。その趨勢は1国だけの問題ではなく、全世界にとっての重大関心事にほかならない」

 バイデン大統領は去る12月21日、ホワイトハウスに招き入れたウクライナのゼレンスキー大統領を前に、今後も同国への経済、軍事援助を積極的に進めていくことを力説して見せた。

 そして会談の直前には、地対空「パトリオット」ミサイル供与を含む、18億5000万ドルの追加軍事援助をも約束した。

 バイデン氏は21年4月、大統領就任後、初の連邦議会合同会議で行った演説の中で、安全保障、新型コロナウイルス対策などで混乱を極めたトランプ前政権と対比させ「アメリカは戻ってきたAmerica is back」「政府は動き出した」として、民主党の伝統である〝ビッグガバメント〟への回帰姿勢を鮮明にした。

 その後具体的に、外交・安全保障面では、ロシアの軍事攻勢に歯止めをかけるためウクライナに対し、190億ドル超の大規模軍事援助に乗り出すと同時に、アジアでは中国との対抗姿勢をより明確に打ち出し、①対中ハイテク製品輸出規制、②インド太平洋海域における米軍プレゼンス強化――などの動きを見せてきた。

 ホワイトハウス当局者の説明によると、こうした「バイデン戦略」は、中露両国に代表される専制主義との戦いを念頭に置いたものであり、対中政策と対露政策は不可分の関係にある。従って、ウクライナへの本腰を入れた取り組みは、単に同国支援のみにとどまらず、台湾周辺、南シナ海における中国の最近の軍事的攻勢をけん制する明確な「米国のシグナル」を意図したものだという。

 この点で、バイデン氏が、対露戦争の渦中にあるゼレンスキー大統領を年の瀬に急遽、ワシントンに招待し、首脳会談のみならず、同大統領のために米議会での熱烈な支援呼びかけ演説の機会を演出したのも、ロシアに対してのみならず、中国向けの強いメッセージが念頭にあったとみられている。

 そしてバイデン政権は、23年は、これまで以上に外交・安全保障に力点を置いていく構えだ。


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