2023年1月30日(月)

2024年米大統領選挙への道

2022年12月27日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授 心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08年~10年、12年~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年と12年米大統領選挙で研究の一環として日本人で初めてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。激戦州南部バージニア州などで4200軒の戸別訪問を実施。10年、14年及び18年中間選挙において米下院外交委員会に所属するコノリー議員の選挙運動に加わる。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。中西部オハイオ州、ミシガン州並びに東部ペンシルべニア州など11州で3300軒の戸別訪問を行う。20年民主党大統領候補指名争いではバイデン・サンダース両陣営で戸別訪問を実施。南部サウスカロライナ州などで黒人の多い地域を回る。著書に「オバマ再選の内幕」(同友館)など多数。

 今回のテーマは「ウクライナ戦争は24年米大統領選挙にどのような影響を与えるのか?」である。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は21日、ワシントンを電撃訪問し、ジョー・バイデン米大統領と首脳会談を行い、その後、米連邦議会上下両院の議員を前に演説をした。2023年、ゼレンスキー大統領は米国からの支援継続を実現するために、どのような新たな課題に取り組まなければならないのか。

 また、今回のワシントン訪問で、ゼレンスキー大統領とバイデン大統領の蜜月関係ぶりが際立った。両大統領を結びつけているものは何か。そして、24年米大統領選挙の日程は、ウクライナ戦争にどのような影響を与えるのか――。

(Splash/アフロ)

MAGA系議員と「支援打ち切り」

「米国第一主義」を掲げるトランプ支持のMAGA(Make America Great Again:米国を再び偉大に)は、ウクライナとロシアの国境よりも、米国とメキシコとの国境を重視し、国内のインフレ問題を最優先に考えている。MAGAは、ウクライナに対する財政支援や武器供与に関して否定的な立場をとっているのだ。

 雑誌エコノミストと調査会社ユーゴヴの共同世論調査(22年12月17~20日実施)によれば、「米国はウクライナへの財政支援を増加すべきか、減少すべきか」という質問に対して、20年米大統領選挙でドナルド・トランプ前大統領に一票を投じた有権者の9%が「増加」、27%が「同等」、7%が「減少」と回答した。一方、45%が「もはや財政支援をしない」と答え、最も多かった。ウクライナへの「支援打ち切り派」が4割を超えた。無党派層も35%が財政支援の打ち切りを支持した。

 またウクライナへの武器供与に関しても、前回の大統領選挙でトランプ氏に投票した有権者は否定的である。同調査では、20%が「増加」、28%が「同等」、5%が「減少」、34%が「もはや武器供与を行わない」と回答し、支援打ち切り派が3割を超えた。無党派層も31%が武器供与の打ち切りに賛成した。

 さらに、ウクライナへのパトリオット(地対空ミサイルシステム)供与について、全体で47%が「賛成」、29%が「反対」と答えた。「賛成」が「反対」を18ポイントも上回った。ところが、トランプ支持者は42%が「賛成」、40%が「反対」と回答し拮抗している。

 ゼレンスキー大統領は財布のひもを握る米連邦議会での演説で、MAGA系議員の財政支援と武器供与に関する意識を変えようと説得を試みた。

 しかし、米紙ワシントン・ポストによれば、MAGA系議員の中で影響力のあるマージョリー・テイラー・グリーン下院議員(共和党・南部ジョージア州)とジョシュ・ホーリー上院議員(共和党・中西部ミズーリ州)は、ゼレンスキー大統領の演説会場に姿を見せなかった。そうすることで両議員は、同大統領に支援反対の意思を表明し、MAGAには「米国第一主義」支持のメッセージを発信した。

米国のウクライナ政策は変わるのか?

 このようにMAGAはゼレンスキー大統領とウクライナ難民に対して好感を抱いていない。一方で、米国には約100万人のウクライナ系が主として東部ニューヨーク州、ペンシルべニア州、ニュージャージー州及び西部カリフォルニア州に住んでいる。

 彼らはの多くは、共和党支持者だとされる。しかし、MAGAの態度を見て、トランプ氏を支持する少数派だろう。逆に、トランプ前大統領が再選をしない限り、米国の対ウクライナ政策に大きな変化はないのだ。

 しかし、下院で共和党が多数派になる23年、ゼレンスキー大統領には米国から継続して支援を得るために、MAGA系議員を説得しなければならないという新たな課題が加わるのも間違いない。


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