2024年4月24日(水)

2024年米大統領選挙への道

2022年12月27日

コルスンスキー駐日大使が教えてくれたゼレンスキー大統領の価値観

 ゼレンスキー大統領のリーダーシップとコミュニケーションについて、コルスンスキー駐日ウクライナ特命全権大使に22年12月5日、大使館でヒアリング調査を行った。同大使は首席公使として米国に駐在経験がある。

 ヒアリング調査の中で、コルスンスキー大使はゼレンスキー大統領がウクライナ国民の支持や信頼を勝ち得たのは、同大統領の「民主主義的な価値観」ではなく、「人間的な価値観」であると分析した。

 その上で、コルスンスキー大使は「ゼレンスキーは、非常に思いやいのある人間です。ウクライナ国民の命や犠牲者に対する彼の姿勢は、極めて誠実です。これまでに起きた問題は、彼にとって痛ましいことであることは間違いありません」と述べた。

 さらに、「ゼレンスキーは家族を重視します。これはウクライナ人にとって非常に重要な問題です。というのは、私たちの絶対基準(黄金の基準)は、家と庭があり、家族がいることです。これらは生きる上で欠かせないものです。ゼレンスキーは家族がとても重要だと主張しています」と加えた。

 ゼレンスキー大統領は米連邦議会での演説で、「この戦闘は、われわれの子どもや孫たち、そして彼らの子どもや孫たちがどのような世界に生きるのかを明確に定める」と主張し、家族を用いて米連邦議員及び米国民に訴えた。以前紹介したが、同大統領はドイツメディアとのインタビューの中で、「子どもたちに受け継がせたいものは、ウクライナの威信だ。私たちがどう行動したのかという記憶だ。その記憶がウクライナの子どもたち、孫たちを助ける力となるのだ。新たな国難の際にも」と強調した。

 コロナ禍での20年米大統領選挙で、バイデン大統領は「食卓に空席がある」と繰り返し語り、コロナの犠牲者がいる家族に寄り添った発言をした。最初の妻と娘を交通事故で亡くし、期待していた長男のボー氏までも脳腫瘍で失ったバイデン氏は、コロナの犠牲者が出た家族に対し、感情移入をして、共感のコミュニケーションをとることができる。

 ゼレンスキー大統領とバイデン大統領を結びつけているのは、「民主義的な価値観」というよりも「人間的な価値観」といえるかもしれない。


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