2024年12月4日(水)

Wedge REPORT

2013年6月25日

 その上、不妊治療は排卵日に拘束される。採卵のために突発的に会社を休むことは頻発するし、排卵誘発剤の注射などのために、その前に何度も通院しないといけないということもある。

 37歳から6年にわたる不妊治療を経験した近藤真美さんは、「不妊治療しているとはなかなか会社に言えなかった。通院が増えてくると、営業成績も下がる。このままでは後悔すると思って、仕事を辞めて治療に専念しました」と語る。育児と仕事の両立の前に、不妊治療と仕事の両立ですら、とても難しいことなのだ。

「私に残っている卵はあと何個なのだろう?」

 田中京子さんは、なかなか恋愛に恵まれなかったが、めでたく37歳で結婚。すぐに不妊治療を始めたが、抗ミューラー管ホルモン検査(AMH)で、いわゆる「卵巣年齢」が「50歳以上」と出て、衝撃を受けた。

 「私に残っている卵はあと何個なのだろう?」。愛する夫のためにも早く結果が欲しいと、治療方法もうまくいかなければすぐ変更し、次々と病院も変えていった。体外受精が成功し、子どもを授かることができたが、知識をつけた今となっては、「20代のうちに妊娠に至るよう、もっと早く手を打っておくべきだったという思いがある。でも、相手がなかなか見つからないんですよね・・・」。そう、当たり前のことだが、不妊治療と仕事の両立の前に、まず相手をみつけることが必要なのだ。

 「35歳の壁」を見据えながら、相手を見つけ、妊娠し、仕事も両立するということが、いかに難しいことか。子どもがすんなりできた夫婦や、不妊治療が一般的でなかった世代には、このことがなかなかイメージしにくい。「妊娠」というテーマを、それぞれの女性の個人的な問題としてとらえているうちは、少子化問題はなかなか解決しないだろう。

 その上、不妊治療には、医師、医院によって治療方法に大きなバラつきがある。高額自由診療のためビジネス化している側面もある。多くの女性を悩ませる不妊治療の実態。弊誌7月号で詳しくレポートしているので、ぜひご覧いただきたい。

◆WEDGE2013年7月号より

 

 

 

 

 

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