内向き・縮み志向の日本人
成長戦略では、企業活力を最重視し、日本のヒト、モノ、カネの活用を正面に押し出している。しかし、ヒト、モノ、カネの活用をいくら促進しようとしても、企業や個人にその気がなければ進まない。
とりわけ、日本の場合、国民と企業は世界的にみても内向き志向と縮こまり志向が強い。たとえば、輸出入のGDP比率では、日本はいずれも世界最下位クラスにある。また、1980年以降2010年までの対内直接投資純残高のGDP比は世界185か国中184位と事実上世界最下位と言える順位にある。
これらは、日本が世界経済と十分に関係を深めているとは到底言えない数字だ。日本人の英語力のなさも、日本が英語を使う必要性が他国よりも少ない貿易小国だからとも言え、日本人の内向き志向を表していると見ることができよう。
海外との関係の薄さは日本企業にもある。日本では輸出額上位1%の企業が輸出総額の6割以上を担っているが、この割合は他の主要国よりも高く、それだけ輸出に参入する企業が限られているということを示している。
しかも、日本企業は内部留保をいままでになく積み上げており、日本全体の部門別資金過不足を示す貯蓄投資バランスで見ても、米国やドイツを超える貯蓄超過すなわち収入に対する支出の少なさが企業部門で生じている(図表2)。
確かに、近年企業を取り巻くリスクは大きく、多様化していて、企業が投資に慎重になるのは分かる。しかし、リスクが大きい不透明な時代に直面しているのは日本企業だけではない。日本企業が、欧米企業に比べて大きな貯蓄超過、あるいは投資の少なさや雇用賃金への還元を絞っていることは、日本企業の縮こまり度合の強さを示す以外の何物でもない。