フランスの貿易大臣は中国の発表を「中国は関係のない分野で新たな戦線を開いた。不適切であり非難されるべきだ」と述べている。一方、オランド大統領は「EU27カ国の共同歩調が必要」と述べているが、一方では「交渉による決着を望む」と述べたとも報道されており、中国政府の作戦は功を奏しているように思える。
英国が課税に反対する理由は
発電設備への中国資本導入か
英国のグレッグ・ベーカーエネルギー気候変動大臣は、5月中旬にエネルギー産業の首脳と共に、ECのあるブラッセルを訪問し、「審査を止めるべき」と主張したと報道されている。経済大臣や貿易大臣ではなくエネルギー大臣が中国の寄りの立場を主張するのは理解できないが、英国の電力事情と関係していると考えると理解できる。
6月28日付け英フィナンシャルタイムズ紙は1面上部に大きな送電線鉄塔の写真を掲載した。英国の送電線網を管理しているナショナルグリッドが企業に対し「来年冬の午後4時から8時の間の節電を呼びかけた」ニュースのためだ。まるで、日本と同じような状況だが、英国では電力市場自由化により設備の建て替えが進んでいないため、2015年から2016年には供給予備率が2%になり、もし発送電設備で事故があれば、停電もあり得る事態になるからだ。
発電設備を建設するために、原子力と再生可能エネルギーには固定価格買い取り制度を、またガス火力には設備を作れば支払を保証する容量市場を導入することを英国政府は決めた。ただ、この制度で投資家が出てくるかどうかは別問題だ。投資家がいなければ大変なことになる。そこで英国政府が期待しているのは中国マネーだろう。エネルギー大臣、業界が中国への強硬姿勢に反対するのは、そういうことではないのだろうか。
中国の間違った政策のツケは誰が払うのか
ECの声明にあるように、中国の生産能力は明らかに過剰だ。2012年の世界の太陽光パネルの需要要は3100万から3600万kW程度と推測されているが、世界の生産能力は6000万から7000万kW、中国だけで5000万kWあるとされている。ECが指摘する通りだ。
なぜ、こんなことになったのだろうか。パリのシンポジウムで会ったパリのアジアセンターとシンガポール大学の中国政策の研究者に意見を聞いてみた。彼らの意見をまとめると、こういうことだ。